帰省の最終日。
父が朝ごはんを食べながら、ぽそっと言いました。
父そろそろ外貨預金口座解約したかとばってん、20万円ずつしか円に戻せんけん、時間のかかっとたいな



……え?! 20万円??
いやいや、そんなルール聞いたことないけど……?


飛行機の時間も迫っていて、その場では深掘りできず…。
帰京後に調べてみたら、誤解の正体が見えてきました。
この記事は、高齢の親のお金まわりをサポートしている方、外貨預金の扱いに迷っている方、年金生活者の医療費控除について知りたい方のお役に立つのではないかと思います。
うちの両親は「昔ながらのサラリーマン家庭」
うちは典型的な昭和の暮らし方をしてきた家庭で、父は長年サラリーマン、母は専業主婦。
いまは年金だけで暮らしていて、資産といってもほとんどが普通預金。
引っ越しのたびにその町の支店で口座を作っていたため、同じ銀行の口座が複数あります。
加えて、外貨預金も少しだけ残っていました。
高齢になるにつれ、父もようやく
「そろそろ口座を整理したい」と感じ始めたらしく、
特に外貨預金の決着をつけたかった様子。
でも、父は年金生活者で確定申告の経験はゼロ。
サラリーマンだった頃に源泉徴収だけで終わる生活を長く続けてきたので、
確定申告と言われただけでめんどくさい!と、なるタイプ。
さらに、決定的な理由がひとつありました。
昔、外貨を円にしたときに税務署から電話が来たらしい
父曰く、



まえに、外貨をまとめて円にしたら、税務署から電話がかかってきて確定申告してくださいて言われたったい。あぎゃんとは、もう面倒くさかもんな
その記憶が強烈だったようで、
外貨は少しずつしか換えてはいけないという独自ルールが誕生してしまった模様。
でも実際は、父の脳内でいろんな情報が混ざってしまっていただけで、
20万円という数字の正体は別のルールでした。
【重要】20万円まで申告不要の本当の意味


父が言っていた20万円までしか円転できないという謎ルール。
正しくは、こういう仕組み。
◆ 給与所得者・年金受給者の「雑所得20万円ルール」
つまり本当は、
というだけの話なんです。
父は、昔の税務署の電話と、この20万円特例がごちゃ混ぜになっていたようです。
医療費が多かった年は「円転のチャンス」
帰省中は時間が足りず説明できず、
東京に戻ってから外貨・税金・年金の仕組みを整理してみると、
あることに気づきました。
今年の父は高額療養費の払い戻しが複数回あった
- 入院2回
- 手術1回
- 高額療養費の払い戻しが複数回
医療費の総額はわかりませんが、高額療養費の払い戻しがあったと聞いているので、医療費がかかったのは間違いないようです。
- 70歳以上なら上限額が下がる
- 入院・手術があると何度も恩恵がある
- 差額ベッド代や食事代は対象外
■ 確定申告で医療費控除がつかえるのでは?
外貨を円に戻すと、為替で出た利益は「雑所得」になりますが、
医療費控除がその雑所得を相殺してくれる可能性が高い。
計算はざっくりこんな感じ↓
医療費 - 保険の給付(=高額療養費など) - 10万円(または所得の5%)


今年は円転しても税金が増えないよと伝えてみた
この整理がついたので、東京から父に電話。



お父さん、今年は医療費が多かったから、外貨を全部まとめて円にしても、大きく税金は増えないよ。(たぶん)
と言ってみたところ……
翌日、父は母と銀行に行き、外貨を全部円転して帰ってきた


電話した翌日、
父は母と仲良く銀行に出かけて、
外貨預金をすべて円に換えてきました。
できたぞ!とちょっと誇らしげな顔。
父の中で長年の 気がかり がやっと片付いた瞬間でした。
外貨口座もスッキリ。
銀行口座の整理も一歩前進。
来年の確定申告は、
私が帰省して一緒にやる予定です。
高齢の親のお金まわりは誤解のタネが本当に多い
今回あらためて思ったのは、
- 昔の記憶
- 断片的な知識
- 税金アレルギー
- 手続きの苦手意識
- 入院での混乱
こういうものが重なると、
高齢の親は正しい情報にたどり着けないことが多いということ。
でも、
子ども世代が少しだけ整理してあげると、一気にスムーズに進む。
外貨預金のような昔の名残は、
なるべく早めに片付けておいたほうが、
本人にとっても家族にとっても安心です。
まとめ
今年のように医療費が多い年は、
実は外貨を整理するのに向いている年だったりします。
父のように、
昔の記憶 と 思い込み が混ざって動けなくなるケースは多いもの。
でも、冷静に整理してみれば、
難しいことはほとんどありません。
お金や手続きのことがしんどくなる高齢の親にとって、
一緒に考えてくれる存在 が何よりの支えになる——
そんなことを感じた帰省でした。
※本記事は筆者の実体験に基づく事例です。税金の計算や控除の条件は、個人の所得状況や年度によって異なります。具体的な申告の相談は、最寄りの税務署や税理士にご確認ください。
国税庁のサイト も参考にしてくださいね。
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