行定勲監督作品
熊本地震チャリティーのイメージがついてしまっているかのようなこの映画ですが、本来は地域振興のための映画でした。地震が起きたあと見ると、熊本の風景を映像の中に記録した功績を一番に感じるのですが、地震のことを外して考えると、をこの映画の本来のテーマとして感じるのは「置き去りにしたものを取り戻したい」ってことかな?
姜尚中氏演じる「男」は、熊本で育ってその後何十年も帰っていないような映画監督。次回作のロケハンのために久しぶりに故郷に帰って、そこで自分が故郷に置きっぱなしにしてきた気持ちを思い出し、思い出をたどる小さな旅に出る。
映画の表現では「初恋」だったりするわけですけど、現実はもっといろいろあるはずで、大人になって故郷を離れてしまった人のフワフワした感覚なども描かれていたと思います。そう考えると、自分などはまさしくドンピシャで。見終わって行定監督と話をした時に親しみを感じたのもそのへんもあるのかな、と思いました。単に実家が近所だったということだけでなく。
故郷を離れて暮らしている人の事情はいろいろでしょうけど、これは世界中どこにでもある普遍的なテーマで、みんなどこか、捨ててきたという感覚を持っているんじゃないかと思うのですが、その辺りの苦い感覚を思いださせました。
行定勲監督はキャリアも長いですけど、彼の作品見るの初めてでした。
行定勲監督
行定勲監督の作品は結構たくさん見ていますが、やっぱり一番心に残っているのは「世界の中心で、愛をさけぶ」です。もっとも、行定さん自身は代表作がセカチューと言われることが納得いかないようですが(笑)
「北の零年」や「春の雪」などの大作も見ましたが、私はあまり評価できませんでした。その後も意欲作を次々と発表し、たしかに徐々に研ぎ澄まされてきた印象はありますが、映画は結局、観客が評価するものですから、セカチューを超える作品は出ていないように思います。
映画づくりの難しさは、ご本人が一番分っておられると思います。
私は1回思い切って時代劇の人情喜劇なんかに取り組まれたらいかがかなと思っているのですが・・・
FUSAさん
映画も沢山ご覧になっていらっしゃるのですね!私は「セカチュー」すら見ていないんですよ。唯一「北の零年」は映画館で予告編だけを見ました。対策のニオイがしましたが、なぜよしながさゆりとワタナベケンが夫婦なんだ?と思ってみる気になりませんでした。
最近の日本映画は時代劇の方が見るかもしれません。行定さんの時代劇見てみたいですね。