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「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」 松岡圭祐

読み終わりました。
面白かった。
読み始めたら、あっというまに終わりまで読めました。

日本人にしか書けないホームズ物語ですね。
同時代の有名人をホームズとからませたい。
日本にも来てほしい。
日本の出来事と組み合わせたらどうなるかな?

こんな願望をかなえてくれた作品です。

パスティシュにはあまり興味の無い私ですが、島田荘司氏の「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」は大好きです。英国留学中の夏目漱石が(ベーカー街のすぐ近くの学者の所に通っていたというのは有名な話)ホームズと出会うお話です。

この本は、その島田荘司氏の推薦の帯がついていました。
読むしかないでしょ。

松岡氏のは、もっとしつこい話で、長州藩時代の密航留学で英国へ来た伊藤博文(伊藤春輔時代)がまだ少年だったホームズに会う所から始まってます。そして政治家となった伊藤が帝国憲法の調査のための英国訪問中、「まだらの紐」事件を解決したばかりのホームズをベーカー街221Bをたずねてくるというエピソードがつづきます。そしてメインは、モリアティ教授との対決のあと実はホームズは日本に来ていた!
と言う展開です。

サービス精神が旺盛すぎて、胸やけを起こすくらいです(笑)

しかも、このホームズは何やら兄マイクロフトの間にわだかまりがあって、まるでBBC版のシャーロックみたいなんです。
いるのか?この設定?
そしてお約束の、日本に来て文化の違いに色々とまどうシーンの数々。文化摩擦を経てからのホームズの日本礼賛には多少居心地が悪くなりますよ。それから明治時代の日本人は英語が堪能な人多いみたいです。色々と興味深いです。

でもそれだけじゃない、ちゃんと事件が起こって、ホームズが解決に奔走します。
もちろん伊藤博文も!
アクションだってこなしちゃいます!

そして、その事件と言うのが「史実」にある、大津事件なんです。
ロシアの皇太子ニコライ襲撃事件です。
伊藤博文という日本政治の大物を持ってきたから、事件もやたら大げさになり、日英露の三国が絡む大国際問題になってしまいました。

でも、基本はエンターテインメント作品です。
映像化作品が見たいなと思いました。
「坂の上の雲」くらいの豪華さで(ムリか・・)
脳内でキャスティングが楽しめますよ。
美味しい役どころはやはり「井上馨」ですね。
思いっきり魅力的な役者さんをお願いします。

あと、忘れちゃいけないのが、この本で、これまでシャーロキアンにいろいろ言われてきたであろう、ドイルの詰めの甘さについてフォローがなされていることです。話の筋に何の関係もないんですが、松岡さんは気になってたんでしょうね。

ホームズは、ライヘンバッハの滝の一件で殺人罪に問われないのか?
とか
まだらの紐の蛇、蛇は音が聞こえないのに、口笛で操るのは無理!
とか
そういうことをフォローしてあります。
シャーロキアンですね。

シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

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