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「バスカヴィルのハウンド」和訳 15

ふ~~~やっと出来た。
気がついたときにコツコツ一文ずつ訳してましたが、またまたかなりのブランクが空いてしまいました。
謝罪するシャーロックと相変わらずのシャーロック。
そしてグレッグの登場です!

<凡例>
赤文字:英語がよくわからない、解釈できない部分。
青文字:(私のとっての)新出単語
紫文字:感想、原作(正典)との比較など。
灰色文字:ト書き
日本語として滑らかにすることよりも、なるべく直訳して英語のまま理解したいと考えています。


SH:You, uh, getting anywhere with that Morse Code?
モールス信号でどこかへたどりきそうか?

※ここ進行形になってることで、「まさに~~する」の意味になってるのかな?

JW:No.
いや。

SH:U-M-Q-R-A, wasn’t it? UMQRA.
U-M-Q-R-Aだったよな?UMQRA

JW:Nothing.
なんでもない。

SH:UMQ…
UMQ…

JW:Look, forget it. I thought I was onto something, I wasn’t.
あのな、それはもう忘れろ。何かつかんだと思ったが、そうじゃなかった。

SH:Sure?
ほんとか?

JW:Yeah.
ほんとだ。

SH:How about Louise Mortimer? Did you get anywhere with her?
ルイズ・モーティマーの線はどうだ?彼女とどこかへたどり着いたか?(=彼女から何か手がかりはつかめたか?)

JW:No.
いや。

SH:Too bad. Did you get any information?
それは残念だ。何か情報はなかったのか?

JW:Hmm. You’re being funny now?
ふーん、お前今おかしいのな。

SH:Thought it might break the ice a bit.
そのほうがちょっと氷を溶かすんじゃないかと思って。

※氷を溶かす・・場がほぐれるとか?

JW:Funny doesn’t suit you. I’d stick to ice.
らしくないからやめろ。氷のまんまで上等だ。


SH:John…

ジョン・・・

JW:It’s fine.
大丈夫だ。

SH:No, wait. What happened last night, something happened to me, something I’ve not really experienced before.
いや、待てよ。昨夜起きたこと、何かが起きたんだ。今まで僕が体験したことのないようなことが。

JW:Yes, you said. Fear. “Sherlock Holmes got scared,” you said.
そうだな。怖いって言ってた。「シャーロックホームズが怖がってる」ってな。

SH:No, no, no. It was more than that, John. It was doubt. I felt doubt. Always been able to trust my senses, the evidence of my own eyes, until last night.
いや、いや、いや。それ以上のことだ、ジョン。疑いだった。疑いを感じたんだ。僕はいつでも自分の五感を信頼してきた。自分の目で見たこをと。昨夜まではな。

JW:You can’t actually believe that you saw some kind of monster?
怪物を見たなんてことは、信じるわけにいかないってことか?


SH:No, I can’t believe that. But I did see it. So the question is how? How?

そうだ、そんなこと信じられるわけがない。だが、見たんだ。だから問題はどうやったのかってことだ。

JW:Yes. Yeah, right, good. So you got something to go on, then? Good luck with that.
そうか、なるほど。わかったよ。それで、ってことは、何か手掛かりはあるんだろ?上手く行くといいな。

SH:Listen, what I said before, John, I meant it. I don’t have friends. I’ve just got one.
聞いてくれ。僕が前に言ったことは、ジョン、その通りなんだ。友達はいない。たった一人だけだ。


JW:Right.

わかったよ。

SH:John? John! You are amazing! You are fantastic!
ジョン?ジョン!君は素晴らしい!君はすごいよ!


JW:Yes, all right. You don’t have to overdo it.

わかった、わかった。そんなやり過ぎなくていいよ。

SH:You’ve never been the most luminous of people but as a conductor of light, you are unbeatable.
君は一番輝く人物では決してないが、しかし光のガイドとしてはとびきりだな。

unbeatable:打ち負かすことのできない,負けない.すばらしい,とびきりの.

※ここ、原作でも印象的なせりふですが、このタイミングで来るとなんか横柄なはなもちならない感があって、すごくシャーロックにあってますね!


JW:Cheers. What?

そりゃよかった。(言葉の意味に気づいて)なんだと?

※Cheers って乾杯のときの言葉だと思ってました・・・。

SH:Some people who aren’t geniuses have an amazing ability to stimulate it in others.
ある種の人々はそれ自身は天才でないが、他の人々を刺激するというある種の驚くべき能力を持っている。

stimulate:刺激する

※ここのitは何を指してるの??

JW:Hang on, you were saying sorry a minute ago, don’t spoil it. Go on. What have I done that’s so bloody stimulating?
チョットマテ。さっきまでお前謝ってただろ、台無しにするなよ。続けて。何を俺がやったって?くそ面白くもない刺激?


(NOTE) HOUND

HOUND


JW:Yeah?

それが?

SH:What if it’s not a word? What if it is a individual letters?
これが単語でないとしたら?一つずつの独立した文字なら?


(NOTE) H.O.U.N.D

H.O.U.N.D

JW:You think it’s an acronym?
これ、頭文字だと思うのか?

acronym:頭字語

SH:Absolutely no idea but… What the hell are you doing here?
全く分からない。しかし・・・(レストレードを見かけて)いったいここで何をやってるんだ?

GL:Oh, nice to see you, too. I’m on holiday, would you believe?
やあ、会えて嬉しいよ。休暇なんだ、といったら信じるか?

SH:No, I wouldn’t.
信じるもんか。

GL:Hello, John.
やあ、ジョン。

JW:Greg.
グレッグ。

GL:I heard you were in the area. What are you up to? You after this Hound of Hell, like on the telly?
お前らが例のエリアに入ったって聞いたぞ。何を企んでるんだ?地獄のハウンドを追いかけてるのか?テレビでやってたみたいに?


up to:〈よくないこと〉に取りかかって, やっていて; …をたくらんで.

SH:I’m waiting for an explanation, Inspector. Why are you here?
僕は今説明を待っているところなんだよ、警部。なぜここにいるんだ?

GL:I’ve told you, I’m on a holiday.
言っただろ。休暇だよ。

SH:You’re brown as a nut. You’re clearly just back from your holidays.
ナッツみたいに日焼けしてる。明らかに休暇から復帰したばかりだ。

GL:Maybe I fancied another one.
おそらく、(休暇の)おかわりを所望したんだな。

SH:Oh, this is Mycroft, isn’t it?
ああ、これはマイクロフトだな、そうだろう?

GL:Now, look…
いいか・・・

SH:Of course it is. One mention of Baskerville and he sends down my handler to spy on me, incognito. Is that why you’re calling yourself Greg?
もちろんそうだ。バスカヴィルと聞いて、彼は僕の調教師を派遣して監視させるんだ。匿名でね。だから、自分のことをグレッグと呼んでいるのか?

※「バスカヴィルの話を聞いて」「バスカヴィルであったことの情報を得て」という感じ?

JW:That’s his name.
それが彼の名前だよ。

SH:Is it?
そうなのか?


GL:Yes, if you’d ever bothered to find out. Look, I’m not your handler. And I don’t just do what your brother tells me.

そうだ。もしお前がこれまで解明しようと心煩わせたことがあればな。いいか、俺はお前の調教師じゃない。それにお前の兄さんの指図を受けているわけでもない。

JW:Actually, you could be just the man we want.
実は、あなたはまさに我々が欲している人物かもしれません。

JW:I’ve not been idle, Sherlock. I think I might have found something. Here. Didn’t know if it was relevant, it’s starting to look like it might be. That is awful lot of meat for a vegetarian restaurant.
俺だって怠けていたわけじゃないぞ。シャーロック。何か見つけたかもしれないと思うんだ。ほら。これが適切かどうか分からないが、それがそれらしく見え始めている。ベジタリアンレストランにしては多すぎる肉だ。

relevant:適切な

SH:Excellent.
素晴らしい。

JW:A nice, scary inspector from Scotland Yard who can put in a few calls might come in very handy. Shop!
ステキなこわ~い警部がスコットランドヤードからやってきて、いくつか電話を入れてくれれば、すごく助かるだろうな。

come in handy:役立つ、便利だ

7 thoughts on “「バスカヴィルのハウンド」和訳 15

  1. NH

    genius
    原作の『バスカヴィルの犬』ではこうですよね。

    It may be that you are not yourself luminous, but you are a conductor of light. Some people without possessing genius have a remarkable power of stimulating it.

    君は自分自身では光らないかもしれない。しかし君は光の導体だ。天性の才能を持たない人々の中には、才能を刺激する特異な力のある人もいる。

    ・・・上から目線なことは変わらない気もしますがwww

    後半の文の it が指しているのは genius です。これは本来、才能のある「人」ではなく、才能そのものを表す語です。ドラマではこれが「人」の意味で使われていて、しかも geniuses と複数形になっているので分かりにくいですが、同じように解釈していいんだと思います。

    返信
  2. NH

    friends
    I don't have friends. I've just got one.

    ここいいですね~。

    「僕には複数の friends はいない。いるのはたった1人の friend だけだ。」

    英語の複数名詞と単数名詞の違いを利用したみごとなセリフです。

    ちなみにここも「五つのオレンジの種」へのアリュージョンですね。

    JW: Some friends of yours, perhaps?
    SH: Except yourself I have none.

    誰か君の友達じゃないのか?
    君以外に、友達は1人もいないよ。

    こちらもいいですね~。

    返信
  3. YOKO

    NHさん
    お久しぶりです!
    わ~コメントありがとうございます。
    英語での「genius」は人ではなく、その「才」を表す言葉なのですね。そうか~!でも複数形でかいてるのにitとかいきなりつながってると、面食らいます。正典にもある話題だったので意味はなんとなく分かってるんですが。
    ずるいな~ネイティブ(笑)。

    friends は日本語で訳しにくいですね。
    「友達はいない。一人の友人ならいる」でも意味がよく伝わりませんしね。
    「複数の友人はいないが、一人ならいる。」というのも説明的過ぎて興ざめ。
    英語ならではの上手い表現なんでしょうね。

    「if you’d ever bothered to find out」というレストラードの台詞はどうでしょう?ここはどういう気分の台詞なんでしょうか??
    ifとか出てきてぜんぜん分かりませーん。

    返信
  4. NH

    Greg
    ご返信どうも。このところちょっと忙しくて、すっかりご無沙汰してしまいました。拝読はしてたんですが・・・。

    > 「if you'd ever bothered to find out」というレストラードの台詞はどうでしょう?

    you'd は you had で、過去分詞 bothered がありますから、これは「仮定法過去完了」です。 bother to do で「わざわざ~する」という意味になります。 また find out は「(知られていない事実を)探り出す」というニュアンスです。

    レストレードは「君の名は Greg なのか」という問いに答えて "Yes" と言ってるわけです。それに続くこのセリフは、「もしお前にそれ(名前)を探り出そうというつもりがあればな」ということで、つまり実際はシャーロックはそんなことにはぜんぜん関心なかったということになります。意訳すれば「そんなことも知らなかったのかよ」という感じでしょうか。

    面白いことに、原作ではレストレードのファーストネームは "G" としか明らかにされていないのです。それにひっかけたネタなんでしょうね。

    もうひとつ気になるのは "Is that why you're calling yourself Greg?" というところです。マイクロフトの手先としてホームズを見張ることと、 Greg という名に何か関係があるんでしょうか・・・?

    調べてみたら、Gregory(Greg はこの短縮形)はギリシャ語の Grēgorios という名から来ていて、それには "watchful, alert" (用心深く見張っている)という意味があるとのことでした。

    このネタ、ネイティブでもパッと分かる人がどんだけいるんだ!?

    返信
  5. YOKO

    グレッグの意味!
    NHさん
    解説いたみいります。
    Gregという名前にそんな裏の意味まであったとは!脚本家の目配りには恐れ入谷の鬼子母神ですね。

    「そのためにグレッグと名乗っているのか?」という部分、さして気にも留めなかったのですが、深いな~。

    「if you'd ever bothered to find out」
    の部分ですが、こういうときに「If~」を使うのは「今までちょっとでも知りたいと思えば知ってたハズ・・・」(=知らないってことは、全く関心がなかったんだな)というなじる気持ちなんでしょうかね。
    日本語とは使う言葉というか同じ論理の中でも、言葉にする部分が違ってて、面白いですね。

    日本語なら「しらなかったわけ?」ってところを言葉として表現しますよね。英語だと「知る気になれば」ってところを出すんですね。こういうの面白いですね。

    またよろしくお願いします~

    返信
  6. しましま

    お久しぶりです!
    YOKOさん、今頃、旅行中ですね。いいなあ!!

    さて、バスカヴィル、楽しいですね!私も自分のブログで和訳をやってヒーヒーしてるので、なかなかYOKOさんの所でコメントもできませんでしたが、このあたり、大好きな場面です。しかしすでに皆さんのコメントもたくさん書かれていて、盛り上がってますねえ!

    そしてレストラードのファーストネームは原作にはない件、そうだったのか!
    単にシャーロックが感心をよせない冷たい奴だ、って意味だけじゃなかったんですね。ゲイティスさん本人が書いてて一番楽しいんだろうなあ~

    YOKOさんもコメントしたように、原作からの転用も、ストーリー中のタイミングですごい嫌味になるのが楽しいですね。

    私はもうすぐ自分の目標の和訳は終わるので、そしたらまたもっと前のようにYOKOさんのやってくれてるシャーロックも一緒に楽しめると思います。ホントに日本語にしようがない表現ってのは英語まんまで楽しむしかないし、逐一訳すとそれがわかるのもいいですよね。

    返信
  7. YOKO

    しましまさん
    お久しぶりです!
    キャビンプレッシャーの和訳そろそろ終わるのですか?
    さすが!スピードが違いますね~~!
    わたしはすっかり、のろのろペースですが、またぜひ遊びに来てくださいね。

    そうそう、アカデミー授賞式のベネさんかわいらしかったみたいですね。写真でしか見てませんが。
    ここ数日体調が悪くて、あまりテレビが見られていません。
    今年はおなかも壊すし風邪もひくし、こんなの珍しいんですけどね。

    返信

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