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「バスカヴィルのハウンド」和訳 18

突然始めるこの企画・・・^^

<凡例>
赤文字:英語がよくわからない、解釈できない部分。
青文字:(私のとっての)新出単語
紫文字:感想、原作(正典)との比較など。
灰色文字:ト書き
日本語として滑らかにすることよりも、なるべく直訳して英語のまま理解したいと考えています。



STAPLETON: Oh, back again? What’s on your mind this time?

あら、また来たの?今度などんな考えが浮かんてるのかしら?

SH:Murder, Dr Stapleton. Refined, cold-blooded murder. Will you tell little Kirsty what happened to Bluebell or shall I?
殺人です。ステープルトン博士。精巧で冷血な殺人です。かわいいカースティーちゃんにブルーベルに何が起きたのか話していただけますか?あるいは僕から話しましょうか?

Refined: 精錬した、あか抜けた、精巧な


STAPLETON: OK. What do you want?

いいわ、何が望み?


SH:Can I borrow your microscope?

顕微鏡を使わせてもらえますか?

STAPLETON: Are you sure you’re OK? You look very peaky.
あなた、大丈夫なの?随分具合悪そうだけど?

peaky:やつれた、具合が悪い


JW:No, I’m all right.

だいじようぶです。

STAPLETON: It was the GFP gene from a jellyfish, in case you’re interested.

クラゲから採取した GFP遺伝子よ。念のため。(直訳なら=一応、あなたが興味ある場合に備えて言っとくと)

JW:What?
なんですか?

STAPLETON: In the rabbits.
うさぎに入ってたもの。

JW:Hmm. Great news.
ふーん、そればすごい。

STAPLETON: Aequorea Victoria, if you really want to know.
オワンクラゲよ。ホントに知りたいならだけど。

Aequorea Victoria: オワンクラゲ

JW:Why?
なぜ?


STAPLETON: Why not? We don’t ask questions like that here. Isn’t done. It was a mix-up, anyway. My daughter ended up with one of the lab specimens, so poor Bluebell had to go.

いいじゃないの、ここではそんなことは誰もたずねないわ。終わってない。ごっちゃになってしまったのよ、とにかく。
私の娘は、研究室の検体を飼う羽目になって、それでかわいそうなブルーベルは行かなきゃならなくなったの。


end up with: 羽目になる
specimens: 見本、標本、検体

JW:Your compassion’s over whelming.
あなたの同情心はあまりにも圧倒的ですね。
※かなり皮肉を言ってると思われます。

compassion:同情
whelm:圧倒する、押しつぶす


STAPLETON: I know. I hate myself sometimes.

そうね。自分でも時々自己嫌悪するわ。

JW:So, come on, then, you can trust me, I’m a doctor, what else have you got hidden away up here?
それで?僕を信頼してくれ、僕は医者だ。ここでほかに隠していることは?


STAPLETON: Listen, if you can imagine it, someone is probably doing it somewhere. Of course they are.

ねえ、あたたに想像力があれば、誰かがおそらくどこかで何かやってるわね。もちろんやってるわよ。


JW:Cloning?

クローンを作ってる?

STAPLETON: Yes, of course. Dolly the sheep, remember?
そんなの当然よ。羊のドリーを覚えてる?


JW:Human cloning?

人間のクローンとか?

STAPLETON: Why not?
もちろん。

JW:And what about animals? Not sheep. Big animals.
じゃあ、動物は?羊じゃなくて、大型の。

STAPLETON: Size isn’t a problem. Not at all. The only limits are ethics and the law. And both those things can be very flexible. But not here, not at Baskerville.

大きさは問題じゃないの。全然ね。制限があるとすれば、倫理と法律ね。で、この二つはとってもフレキシブルなものよ。でもここではやってない。バスカヴィルではね。

ethics:倫理

SH:It’s not there!

そこにはない!

※顕微鏡を見ながら顕微鏡の先に目指すものがないという場面ですが、thereを使うのですね。

JW:Jesus!
何てこと!

SH:Nothing there! It doesn’t make any sense.

何もない!これじゃ、つじつまが合わない。

STAPLETON: What were you expecting to find?
何が見つかると思っていたわけ?

SH:A drug, of course! It has to be a drug. A hallucinogenic or a deliriant of some kind. There’s no trace of anything in the sugar.

クスリだ。もちろん!クスリのはずなんだ。幻覚誘発性薬とかせん妄発生薬とかそういう種類の。砂糖の中には何も入っていた形跡がない。

hallucinogenic:幻覚誘発性薬
deliriant:せん妄発生薬

JW:Sugar?
砂糖?

SH:The sugar, yes. It’s a simple process of elimination. I saw the Hound, saw it as my imagination expected me to see it. A genetically engineered monster. But I knew I couldn’t believe the evidence of my own eyes, so there were seven possible reasons for it, the most possible being narcotics. Henry Knight, he saw it too. But you didn’t John. You didn’t see it. Now, we have eaten and drunk exactly the same things since we got to Grimpen, apart from one thing! You don’t take sugar in your coffee.
砂糖だ。そう。簡単な消去法だった。僕は犬を見た。僕の想像した通りに見た。遺伝子操作された怪物だ。しかし、僕は自分がこの目で見た証拠でも信じることができないと分かっていた。だから、それには7通りの理由が考えられるが、一番ありそうなのは、麻薬だ。ヘンリーナイトもそれを見た。でも、ジョン、君は見なかった。さて、僕らは全く同じものを飲み食いしてきた、グリンペンに到着して以降、たった一つをのぞいては!君はコーヒーに砂糖を入れない。

※謎解きは英語で読んでももワクワクしますね!というか英語の方がこの場合より臨場感があるかも。(そしてこの謎解きは的外れ…)

elimination:排除、消去法
genetically engineered :遺伝子改変の
narcotics:麻薬


JW:I see. So…

なるほど、それで・・・


SH:I took it from Henry’s kitchen. His sugar. But it’s perfectly all right.

僕葉ヘンリーのキッチンから持ち出した。彼の砂糖を。しかし、それは完全に問題ないものだった。


JW:But maybe it’s not a drug.

でも、ドラッグじゃないかもしれないだろ。


SH:No, it has to be a drug. How did it get into our systems? How? There must be something. Something… Something buried deep. Get out.

いや、ドラッグのはずなんだ。どうやって、われわれの体内に取り込まれたか?どんな方法で?何かがあるはずだ。何か…何か深く埋められているもの・・・出て行け!


STAPLETON: What?

何?

SH:Get out. I need to go to my mind palace.
出ていくんだ。僕は自分の精神の宮殿に行く必要がある。

STAPLETON: Your what?
あなたの何ですって?


JW:He’s not going to be doing much talking for a while, we may as well go.

彼は、しばらくはしゃべろうとしないでしょう。我々は行った方がよさそうだ。

STAPLETON: His what?
彼の何?


JW:Oh, his mind palace. It’s a memory technique. A sort of mental map. You plot a map with a location. It doesn’t have to be a real place. And you deposit memories there. Theoretically, you can never forget anything. All you have to do is find your way back to it.

ああ、精神の宮殿ですよ。記憶術です。メンタルマップみたいなもの。地図に位置を書き込んでいくんです。実在の場所である必要はない。記憶をそこに保管するんです。理論上は何も忘れることがない。その場所に戻って行く道を見つけるだけでいいんです。

plot:(海図などに)位置を記入する.
theoretically:理論上は


STAPLETON: So this imaginary location could be anything, a house or a street?

じゃあ、この想像上の場所はなんだっていいわけね?家とか通りとかでも?


JW:Yeah.

そういうことです。


STAPLETON: But he said palace. He said it was a palace.

でも彼、宮殿って言ったわ。それは宮殿だって。


JW:Yeah, well, he would, wouldn’t he?

ええ、そうですね。彼ならそういうでしょうね。彼らしいでしょ?

ココ省略が多すぎてこの訳であってるのか、自信ないです・・。

7 thoughts on “「バスカヴィルのハウンド」和訳 18

  1. NH

    wouldn't he?
    「バスカヴィル」快調ですね。 フレ♪\(^▽^〃)♪フレ

    > Listen, if you can imagine it, someone is probably doing it somewhere.

    この you は「総称人称」です。「人があることを想像できるなら、おそらく誰かがどこかでそれを実行している」という一般的なことを述べています。

    > well, he would, wouldn’t he?

    これ、なんか有名なフレーズらしいですよ。

    1962年、イギリスで「プロヒューモ事件」というスキャンダルが起きました。当時の陸相ジョン・プロヒューモがソ連のスパイとつながりのあった売春婦に情報を漏らしたという、それこそ『シャーロック』に出てきそうな話で、「20世紀最大の英政界スキャンダル」とまで言われています。

    この事件にかかわる人物の一人にマンディ・ライス=デービスというショーガールがいました。彼女はアスター子爵という貴族と関係をもつことで情報の漏えいに加担したとされたのです。ある裁判で、子爵側の弁護士が「子爵はこの女性と関係をもつどころか、会ったことさえないと述べている」と主張したとき、彼女は次のように切り返しました。

    "Well, he would, wouldn’t he?"
    〔そりゃ、彼はそう言うにきまってるわよ。そうじゃない?〕

    彼女のこの返答は有名になり、『オックスフォード引用辞典』にまで収録されているんだとか。

    おそらくジョンが "Well, he would, wouldn’t he?" と口にしたとき、イギリス人の視聴者はドッと沸いたんでしょうね。

    ・・・て、分かるかっ!

    返信
  2. YOKO

    総称人称
    NHさん
    詳しい解説感謝です。
    「総称人称」っていうのですね?初めて聞きました。これって、きっと学校で習ってるんでしょうけど・・習った記憶がない。ときどき、Youが二人称じゃないなと感じることがありますが、総称人称というのかぁ。(中国語にもあります。NIが二人称じゃないとき。)

    「人が思いつくようなことは誰かがもうやってる」ってことですね。あ、似たようなフレーズがあったのを思い出しました。ホームズのセリフ「人が考えたことなら、解けないはずがない」
    これ、マスグレーブ家の儀式に出てきたんだったかな?この表現、英語ではyouが使われているのかな?調べてみよう。

    それと、 "Well, he would, wouldn’t he?"
    そんな背景があったとは!
    わかるかって話ですよね。
    面白いですね。ウィキペディア見ていたら、これに続いて、MRDAっていう新語もあるみたいですね。日本でいうところの2ちゃん用語みたいなものかな。
    過去の話ではなくて今の若者たちの間にも浸透している話題というのが面白いと思います。

    でも、わかるかっ!

    返信
  3. YOKO

    総称人称
    NHさん
    詳しい解説感謝です。
    「総称人称」っていうのですね?初めて聞きました。これって、きっと学校で習ってるんでしょうけど・・習った記憶がない。ときどき、Youが二人称じゃないなと感じることがありますが、総称人称というのかぁ。(中国語にもあります。NIが二人称じゃないとき。)

    「人が思いつくようなことは誰かがもうやってる」ってことですね。あ、似たようなフレーズがあったのを思い出しました。ホームズのセリフ「人が考えたことなら、解けないはずがない」
    これ、マスグレーブ家の儀式に出てきたんだったかな?この表現、英語ではyouが使われているのかな?調べてみよう。

    それと、 "Well, he would, wouldn’t he?"
    そんな背景があったとは!
    わかるかって話ですよね。
    面白いですね。ウィキペディア見ていたら、これに続いて、MRDAっていう新語もあるみたいですね。日本でいうところの2ちゃん用語みたいなものかな。
    過去の話ではなくて今の若者たちの間にも浸透している話題というのが面白いと思います。

    でも、わかるかっ!

    返信
  4. YOKO

    踊る人形でした
    件のセリフ、マスグレーブではなくて、踊る人形にありました。

    What one man can invent another can discover

    you ではなくて one man でした。

    返信
  5. YOKO

    踊る人形でした
    件のセリフ、マスグレーブではなくて、踊る人形にありました。

    What one man can invent another can discover

    you ではなくて one man でした。

    返信
  6. NH

    generic person
    ご返信ありがとう。

    > What one man can invent another can discover.

    なるほど、ここでは不定代名詞の one と another を使って「ある者が思いついたことは、他の者が解くこともできる」という形にしてるわけですね。

    総称人称(generic person)に用いられる代名詞にはいろいろあって、 one と you の他にも we や they が使われます。

    We should obey traffic rules.
    〔交通規則は守らねばならない。〕

    In Australia they celebrate Christmas in summer.
    〔オーストラリアでは夏にクリスマスを祝う。〕

    なぜ日本語話者にとって総称人称の代名詞がピンと来ないかというと、日本語では「一般的なこと」を述べるのがすごく簡単だからです。

    上の英文の日本語訳で、総称の代名詞の部分がいずれも訳されていないのにお気づきと思います。日本語では一般的なことを述べるときはふつう主語がいらないわけです。だから我々には「一般的なことを述べるための代名詞」が存在するということ自体が理解しづらいんですね。

    返信
  7. NH

    generic person
    ご返信ありがとう。

    > What one man can invent another can discover.

    なるほど、ここでは不定代名詞の one と another を使って「ある者が思いついたことは、他の者が解くこともできる」という形にしてるわけですね。

    総称人称(generic person)に用いられる代名詞にはいろいろあって、 one と you の他にも we や they が使われます。

    We should obey traffic rules.
    〔交通規則は守らねばならない。〕

    In Australia they celebrate Christmas in summer.
    〔オーストラリアでは夏にクリスマスを祝う。〕

    なぜ日本語話者にとって総称人称の代名詞がピンと来ないかというと、日本語では「一般的なこと」を述べるのがすごく簡単だからです。

    上の英文の日本語訳で、総称の代名詞の部分がいずれも訳されていないのにお気づきと思います。日本語では一般的なことを述べるときはふつう主語がいらないわけです。だから我々には「一般的なことを述べるための代名詞」が存在するということ自体が理解しづらいんですね。

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