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「バスカヴィルのハウンド」和訳 7

ずいぶん間が開いてしまいました。
バスカヴィルの続きです。
こちらもぼちぼちやって行きます。
第三シリーズ放映までには、なんとかライヘンバッハまでたどり着きたいものです。


<凡例>
赤文字:英語がよくわからない、解釈できない部分。
青文字:(私のとっての)新出単語
紫文字:感想、原作(正典)との比較など。
灰色文字:ト書き
日本語として滑らかにすることよりも、なるべく直訳して英語のまま理解したいと考えています。


FLETCHER: Yeah. No. All right? All right. Take care.
(電話で)ああ、いや。大丈夫か?ならいいんだ。気をつけて。

SH:Mind if I join you? It’s not true, is it? You haven’t actually seen this Hound thing?
同席してもかまわないか?(フレッチャー君の座っているテーブルに座ろうとしたので)あれはホントじゃないんだろ?君は実際にはこのハウンドとやらを見ちゃいないな?

FLETCHER:You from the papers?
おたく、ブンヤ?(なんて言い方しないよね。調子に乗りすぎ^^;)

SH:No. Nothing like that. Just curious. Have you seen it?
いや、そんなんじゃない。ただの好奇心さ。見たのか?

FLETCHER: Maybe.
かもね。

SH:Got any proof?
なにか証拠でもあるのか?
(吹き替えなら「証拠は?」って短く切り返すことですよね)

FLETCHER:Why would I tell you if I did? Excuse me.
もしあるとして、なんでおたくに教える必要が?失礼するぜ。

JW:I called Henry…
ヘンリーに電話したよ・・・

SH:Bet’s off, John. Sorry.
賭けは止めだ。

JW:What?
何だって?

FLETCHER:Bet?
賭け?

SH:My plans needs darkness. We’ve got another half an hour of light…
(直訳:僕の計画には暗闇が必要だ)暗くなってからだ。暗くなるまであと30分ある。(直訳:我々にはあと30分の明かりがある)

FLETCHER:Wait, wait. What bet?
まてよ。何の賭けだ?

SH:Oh, I bet John here 50 quid that you couldn’t prove you’d seen the Hound.
ああ、ジョンと50ポンド賭けたんだ。君がそのハウンドを見たことを証明できない方にね。

JW:Yeah, the guys in the pub said you could.
そうそう。パブにいた連中はできるって言ったぜ。

FLETCHER:Well, you’re going to lose your money, mate.
そうか、なら、おたくの負けだね。
(mateは訳しにくい。ちょっと前の小説なら「なあ、兄弟」とか訳すのかな?そんなコトいう日本人いないからね~)

SH:Yeah?
へ~そうか?

FLETCHER:Yeah. I seen it. Only about a month ago. Up at the Hollow. It was foggy, mind. Couldn’t make much out.
そうとも、オレは見た。ほんの1ヶ月前のことさ。くぼ地に向かって上ってるところで。霧がかってて、いいか、よくは見えなかったんだ。

mind: いいかい, よく聞きたまえ.

SH:I see. No witnesses, I suppose?
なるほど、目撃者はなしか。そうだろ?

FLETCHER: No, but…
ないけど・・・でも

SH:Never are.
いるはずがない。

FLETCHER:No, wait. There.
いや、待てよ。ほら。

SH:Is that it? It’s not exactly proof, is it? Sorry, John. I win.
それだけ?そんなのは正確な証拠になりゃしないよな?わるいね、ジョン、僕の勝ちだ。

FLETCHER: Wait, wait! That’s not all. People don’t like going up there, you know. To the Hollow. Gives them a bad sort of feeling.

待てよ、待てったら!それだけじゃないぜ。誰もあそこへは行きたがらない。分かるか、くぼ地さ。あそこへ行くとみんな気分が悪くなるんだ。

SH:Ooh, is it haunted? Is that supposed to convince me?
うわ~、それが怖い?そんなんで僕を納得させられると思ってるのか?

FLETCHER:Nah, don’t be stupid! Nothing like that. But I reckon there is something out there. Something from Baskerville. Escaped.
いいや。バカ言うなよ!そんなものじゃないんだ。でもオレが思うに、何かがその辺にいるんだ。バスカヴィルからの何かが。逃げてきた・・

reckon:思う、推測する

SH:A clone? Super-dog?
クローンか?スーパードッグとか?

FLETCHER:Maybe. God knows what they’ve been spraying on us all these years. Or putting in the water. I wouldn’t trust them as far as I could split.
そうかもな。ヤツらがながいこと俺たちに何を噴霧してたかなんて誰にもわからない。それか、何かを水に入れてるのかもな。とにかく俺は奴らを信じない、俺が裂けるかもしれない限りは。

spray:噴霧する
split:裂ける、分裂する、分かれる

※splitの意味が分かりません。

SH:Is that the best you’ve got?
それで全部か?(直訳:それがお前の持っている最高のもの=証拠か?)

FLETCHER:I had a mate once who worked for the MOD. One weekend we were meant to go fishing, but he never showed up. Well, not till late. When he did, he was white as a sheet. I can see him now. “I’ve seen things today, Fletch,” he said, “I ain’t never want to see again. Terrible things.” He’d been sent to some secret army place. Porton Down, maybe? Maybe Baskerville? Or somewhere else. In the labs there, the really secret labs, he said he’d seen…terrible things. Rats as big as dogs, he said. And dogs, dogs the size of horses.

俺には国防省で働いてたダチがいて、ある週末俺たち釣りに行こうってことにしてた、でもヤツがなかなか現れない。まぁでもそんなに遅くならなかった。ヤツがやってきたとき、まるでシーツみたいに真っ青(な顔)だったんだ。今でも思い浮かべることができる。「俺、今日見ちまったんだ、フレッチ」とヤツは言った。「もう二度と見たくない。恐ろしい物だ」ヤツは軍の秘密の場所に派遣されてたんだ。ポートンダウンかな?あるいはバスカヴィルだったかも、はたまた別の場所か・・・そこの研究所で、マジで秘密の研究所だぜ、ヤツは恐ろしいものを見たんだと言った。犬みたいに大きなねずみとか、そして、犬も。ヤツは言った、そして犬も。馬みたいに大きな犬だ。

(と足跡の石膏型を見せる)

JW:Uh, we did say 50? Mmm. Ta.
えーと、確か50だったよな?どーも、ありがと。

0 thoughts on “「バスカヴィルのハウンド」和訳 7

  1. NH

    Could you split?
    祝バスカヴィル再開 ヽ(^o^)/

    "I wouldn't trust him as far as I could throw him." という言い方があって、これは「彼をぜんぜん信用しない」という意味のイディオムです。小説などにも出てきます。

    as far as~には2つの使い方があり、
    (1) ~と同じ距離まで
    "I didn't go as far as he did." (彼ほど遠くまでは行かなかった)
    (2) ~の及ぶ限りでは
    "as far as we can judge" (われわれに判断できる限りでは)

    つまり "as far as~" は「距離」もしくは「程度」の限界を表すわけですが、ネットに出てくる情報で見る限り、上のイディオムはその両方に引っかけた表現のようなのです。

    人は人を遠くまで投げることはできません。だから彼を投げ飛ばしたとして、彼が飛んでいく距離はきわめて小さいものです。その「距離=程度」しか彼を信用しない、すなわちぜんぜん信用しないということになります。

    で、やっと split です。この場合は自動詞で「裂ける、2つに割れる」という意味です。

    『ONE PIECE』に出てくるバギーみたいに(?)自分を裂くことができますか? もし自分を2つに分けて、その2つの部分の距離が少しでも離れたら、その時点で死んでしまいますよね。その「その「距離=程度」しか相手を信用しない、ということです。

    ようするにこれは、上のイディオムを踏まえて、それをもっと極端にした形なんでしょうね。

    しかし、 Yahoo UKの "only in UK" でこの表現を検索したら1つもヒットしませんでした。一般的に使われている表現じゃないみたいです・・・。ひょっとしてこの脚本家の発明!?

    返信
  2. NH

    Up
    ついでに "Up at the Hollow." ですが、この up [副]は「向こうの、あっちの」ぐらいの意味です。

    Go up to the door and knock. (向こうのドアのところまで行ってノックしなさい)

    対象までの距離感を表す語で、とくに「上に」という意味ではありません。

    もう1つついで。

    もちろんお気づきと思いますが、この場面は「青い紅玉」で、ホームズが鳥肉屋のブレッキンリッジを賭けと見せかけて引っかける場面のパロディですよね。原作にも "the bet is off" (賭けがお流れになる)という表現があります。

    TVで最初にこのシーンを見たとき思わず噴いてしまいました。

    返信
  3. YOKO

    NHさんへ
    やっと再開できました。ながいなが~いまるで大学生のような夏休みをいただいてました^^。

    で、I wouldn’t trust them as far as I could split.

    の開設をありがとうございます。
    すごく面白い言い方ですね。
    で、あまり使わないのですね。
    意味は分かるけど、例え方が独特ということですね。

    こういうのは日本の小説読んでてもあります。私は宮部みゆきが好きですけど、彼女の小説に、よくそういう表現が出てきます。何かの程度を言いたいときにたとえ話をするのですが、「普通その話にたとえないでしょ?」というような言いまわしをしていて面白いと思います。外国人の学習者が読んだら、何と思うかな、などと思いながら読んでいます。

    ここもそういう表現なのかもしれませんね。

    ではここの訳は、
    「俺の体が真っ二つに裂けて離れる距離ほども俺は奴らを信じないぜ」となるのでしょうか?

    UPに上の意味がない場合もあるのですね。
    なるほど。勉強になります。ありがとうございました。

    「青い紅玉」の賭けのシーンは面白いですね。原作でもホームズの人心掌握術(?)のすごさに感心しましたが、あれをすかさず使うところが、この脚本家はホームズファンですよね。

    元ネタ探しも楽しいですよね。

    返信
  4. NH

    訳・・・
    > ではここの訳は、
    > 「俺の体が真っ二つに裂けて離れる距離ほども俺は奴らを信じないぜ」となるのでしょうか?

    訳しようがないというのがホントのところですが、私なら
    「奴らを信用するぐらいならこの体を2つに裂く方がマシだぜ」
    とかやるかなぁ ^^;

    返信

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