
どういういきさつだったか思い出せないのですが、おそらくネット上で何かの記事か、SNSで誰かの投稿を見たのだと思うのですが、この本の存在を知りました。
早速、図書館にあるか調べて予約して借りてきました。
2005年に出版された本の第2版です。(2006年版)
2000年に発行された「新しい歴史教科書」は衝撃的な本でした。
当時話題だったので私も2001年の市販本を買って読みました。
それまでの教育で私の中に蓄積されていた感覚とはかなり違う本で、正直なところ、とても読みやすく、心が軽くなりました。(それが危険な罠ですね)
それまでは、日本の戦争犯罪や植民支配の歴史を書いた本をそれなりに読んでいましたし、大学の韓国語購読の時間に抗日運動の資料を読まされたり、友人との韓国旅行では西大門の刑務所跡など見に行ったり、90年代はあえてそういう史跡を見に行くのが日本人の責任だと思っていましたが、「自分はいわゆる『自虐史観』に陥っていたのかな?」などと思ったものでした。
が、それから20年。
東アジアの外交関係はよくなるどころか、どんどん悪化しており、日本の内政はかたくなでヘイトがはびこり、中韓の「反日」も、慰安婦問題も徴用工問題もより一層厳しく追及されています。
やはり、何かが大きく間違っているわけです。
もうこれは確信です。
「新しい歴史教科書」はあまりにも日本の(特に近現代史)を肯定し過ぎの「日本スゴイ」本なので(だから日本人が読むと心地よい)、当然中国や韓国から大批判を受けました。
そしてもちろん、日本人からも批判が続出。
そんな中で、出来上がったのがこの「未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史」です。日中韓3か国の学者、教師、などが共同で勉強会を重ね、共同で執筆し、3か国で出版されたのだそうです。
が、恥ずかしながらまったく存在を知りませんでした。
欧米列強の帝国主義の圧力により、開国した近代(日本で言えば黒船来航あたり)から2000年ごろまでの東アジアの歴史を3か国の立場から書かれています。
1930年代から太平洋戦争終結までの部分は、読んでいてかなりしんどいものでした。
が、知らない話も多く、読んでよかった!
なぜ、アジアの国々はいつまでも日本に謝罪を要求するのか?
日本がどうして過去を清算できないのか。
なぜ政治家は靖国神社へ行きたがるのか?
敗戦から75年もたつのに、どうして新しい前向きな関係が築けずむしろ悪化するのか?
中国や韓国の人たちと知り合い交流するたびに、私の中にずっとくすぶってるこのいたたまれなくなる感覚。
この本を読んでいて、自分の中の答えが確信になってきたようです。
日本は中国、韓国、北朝鮮、台湾、東南アジア諸国と前向きな関係を築いていかなくては、未来が明るくならないでしょう。
この本にも、もちろん批判があると思います。
私自身、これを青少年に読ませるならもっと練らないといけないなと思いながら読み進めました。3か国それぞれの文章のトーンが違いすぎるのです。特に、韓国の担当者は非常に主観的な表現を多用しているので、心理的な抵抗が大きく読みにくい。でもまぁそれは些細なことです。
この本の反省を受けてさらに新しい本も出版されているようです。
「新しい東アジアの近現代史」2012年
これも借りてきたので、次に読もうと思っています。
日本と周りの国とのこのこんがらがった状況は、共通の歴史教科書を作ることでしかとき解せないのではないかと思います。皆が歩み寄って(特に日本が歩みよって)共通の認識で子どもたちを育てることができたら、今ある問題がずっと解決しやすくなると思います。
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とてもタイムリィな記事だと感動しました。天木直人さんをご存じでしょうか?2002年にイラク戦争に賛成した小泉首相に、それは間違いであることを中東レバノンの大使として電報を送り、それで外務省を追われた人です。現在は政治とくに日本の対米従属外交批判をし、対米自立のために近隣諸国との和解と平和を追求すべきと強く主張しておられます。その天木さんが今朝8/24の毎日新聞のドイツから米軍兵士が3分の1の12000人撤退という記事を紹介して、それに比べて対米従属しか道を知らぬ日本の不毛さ、見通しの暗さを嘆いておられましたが、まさに、このような歴史認識を近隣諸国と合わせていくことが避けられないのだと思います。私もこの本を取り寄せて読んでみました。(2008年に一度読んではいました)あらためてそう確信した次第です。f.b.にご紹介したいと思います。写真の坂本駅はこの度の集中豪雨で駅が無くなりましたね、被害は大丈夫でしたか?お見舞い申し上げます。それではまた。下関市 鍬野保雄
鍬野保雄さま
コメントありがとうございます。
恥ずかしながら天木直人さんのお名前は存じ上げませんでした。これから少しずつ、関連のサイトなど拝見したいと思います。
今、この本の続編を読んでいます。
通勤時にちょっとずつなのでなかなか進みませんが。東アジアの隣国に信頼される国にならなければ、国際社会での地位も砂上の楼閣となりますね。
戦後75年、いくらなんでもそろそろ変わっていかなければ、日本はチャンスを失うような気がします。
坂本駅のこともご存じでしたか。肥薩線の復旧はいつのことになるのか気が遠くなります。自然災害もまた恐ろしいですね。
下関と言えば、ずいぶん前に関釜フェリーに乗るために下り立ったことがあります。出航までターミナル近くにある小高い神社に上がって景色を見た覚えが。
フェリーで安価な韓国への旅は魅力でした。また、一人旅だったので一晩雑魚寝の緊張感も今となってはいい思い出です。船内で知り合ったご家族(日韓カップルの方でした)とは今も年賀状のやり取りをしています。