考えさせられた記事。
この20年値上げに神経を使ってきました。
気が付くと、自社で製造している商品の価格は20年以上前から変わっていません。それではやっていけないので、他社さんはパッケージや成分を変えたりといったリニューアルタイミングで値上げをすることもありますが、自社の商品はこの20年値上げなんて考えたこともありません。値上げするくらいなら廃番です。
私は社内で値上げをする商品やサービス(送料など)があると、顧客に告知する仕事もしていますが、その時の文章は20年以上同じひな形を使っています。
「諸般の事情により、下記の通り来月より価格を改訂いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、何卒、ご了承のほどお願いいたします。」
この「諸般の事情」は仕入れ元の値上げであることがほとんどです。
仕入れ元からはもっと詳しい内容のお知らせが送られてきます。
曰く、原料が高騰している。これまで社内努力で何とか値上げをせずに頑張ってきたが、そろそろ限界でやむを得ず値上げに踏み切りました。
これが割と長々とした文章で書かれています。
もちろん充分に理解できます。
でも私のところでは、よほど特殊な事情以外は「諸般の事情」にまとめてしまってあっさり値上げを告知する文章にしています。私の中に「値上げは正当な対価の要求」という気持ちがあるからかもしれません。
特殊な事情というのは、天変地異による原料の急騰などです。
テレビなどで食品などの値段が上がるときに、町の人にインタビューする光景があります。
そんな時にみな一様に「値上げは困る。生活が苦しくなる。」っていうんです。そう答える人ばかりを選んで移してるのかもしれませんが、ふしぎ。
豆腐とか、もやしとか、キャベツとかが何円か何十円上がる話です。
本当に生活がそれで苦しくなるのかな?
結構いい服着てるよ、そのインタビュー受けてる人。
と思いながらテレビ見てます。
値上げができないスーパーは、きっとパート従業員の給料は最低賃金すれすれでしょう。
これでいいのかな?
「きのう何食べた?」というドラマが好きで配信で繰り返し見ていますが、この中に出てくるシローさんは弁護士(おそらく一般より高給取り)ですが、倹約家です。いかに賢く買い物して美味しいご飯を作るかということに燃えている人です。それこそ10円20円の差にピリピリしてスーパーを回る人です。
あれは趣味みたいなものでしょう。業界全体の値上にたいしては、シローさんには、その後ろの従業員のことも考えてやみくもに反対しないでほしいなと思います。
20年間のデフレも日本の中だけにいたら、それでもいいと思うのかもしれないケド、世界を見るとそうも言ってられません。
この20年で日本の物価はほとんど変わらず、気が付いたら、アジア諸国から見ても日本は「物価の安い国」になっています。台湾の友人たちも「日本で買うと安いから」という理由で日本で買い物をするのです。
逆に、日本人の購買力は下がってしまっています。
20年前は海外旅行でアジア諸国へ行くと、そこそこいいホテルに泊まれたものですが、今は私自身相部屋の「ホステル」に泊まることが多くなりました。日本の物価が相対的に安すぎて、自分の金銭感覚では「ホテル」に泊まれないのです。
アジアでもこんな感じなので、ヨーロッパやアメリカにいくと日本のディナーの予算がないとランチもできない。・・・日本人は外国に出ると貧乏です。
これから先、海外から人材を求める必要があっても日本は選ばれない。それ以前にいい人材が国外流出してしまったりするのも現実的な話なのでしょうね。
このままでいいのかな?
と思ってしまいます。