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半七捕物帳

今回の帰省で、父と話をしているときに「お前は半七捕り物帳を読んだことがあるか?」という話になった。
名前は聞いたことがあるけれど読んだことはないというと、「実は半七は日本のシャーロックホームズなのだ」という。

え?どういうこと?

「青空文庫にあるけん、読んでみるたい。」
と言われ、さらに「お父さんも以前全部青空文庫のをプリントアウトして読んだ。それが残っとるかもしれん」とごそごそ探して、「津の国屋」という一篇をプリントアウトしたものを渡してくれた。


帰りの飛行機で読んだ。
幽霊が出てくる怪談風味のおはなし。
コワイの苦手だよ~と思いつつも、語り口が非常にスッキリ読みやすく、テンポも良くて、どんどん先へ読み進めさせる。結局、熊本から東京までの機内で読み終わった。


感想、ものすごく面白かった!

大正時代に書かれたらしいが、今の小説と感覚的には全く違いがない。
古さを感じないというのは、人間の普遍的なものを描いているということか?
文章が分かり易くシンプルなところはコナンドイルにも通じると思う。
必要なことだけすっきり書いてて、前へすすんで行くと、いつの間にか読者は物語にどっぷりつかっている。そんな文章、憧れるなぁ。

ちょっと調べてみると、作者の岡本綺堂は明治5年の生まれで、漢文や英語を能くし、新歌舞伎なども評判だったらしい。ある時シャーロックホームズを原語で読んで感銘を受け、探偵小説を江戸を舞台に書いてみようと思ったそうだ。そして誕生したのが「半七捕り物帳」シリーズ。コナンドイルのホームズものと同様、60数篇があり、「日本の探偵小説の嚆矢」とされているとか。

早速、帰宅してから青空文庫で第一作目の「お文の魂」を読んだ。
これも幽霊の話で怪談風味、しかも前半半七が全然出てこない・・・・でも、最後まで読むと納得の面白さだったのでした。半七があんまり活躍しないで事件が解決するところなんか、すごくホームズっぽい。探偵の謎解きより、出来事の面白さ、奇怪さ、に心奪われていくのがホームズ風。

わ~い、これからちょっとずつ読もう。
江戸風俗の考証なんかもばっちりで、文体も読みやすく、シャーロック・ホームズときては、期待がいや増しますね。まだ読んだことのない話ばかり60編以上あるなんて、幸せすぎる!

父が紹介してくれる本には、時々大鉱脈があるなぁ。
子どもの頃のシャーロックホームズ、大人になってからの宮本常一、イザベラバード、そして今度は半七捕り物帳。

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