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寺田寅彦先生の映画論

感銘をうけた・・・


実物と同じに見せるということは絵画の目的でないと同様に映画の目的でもない。

実物を見たのでは到底発見することのできないものを発見させるところに映画の特長があるのではないか。

たとえばわれわれが自身でライオン狩りの現場に臨んだとしたら、どうして草原のそよぎなどを味わうことができるであろうか。
殺されて行く獅子(しし)を哀れむ心を生じるだけの余裕があるであろうか。

「なんの権利があって人間はこの自由な野の住民を殺戮(さつりく)するだろう」

たとえばそんな疑いを起こすだけの離れた立場に身を置きうるであろうか。


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