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SHERLOCKで英語 ベルグレービアの醜聞-7 戦闘服

いよいよ、アイリーンのところへ乗り込んで行くシャーロックとジョン。
シャーロック側とアイリーン側のシンメトリーな構成が素晴らしい部分です。
「ボヘミアの醜聞」ではまず馬丁に扮して偵察に行き、更に聖職者に変装して乗り込むのですが、今回は馬丁部分はカットですね。


<凡例>
赤文字:英語がよくわからない、解釈できない部分。
青文字:(私のとっての)新出単語
紫文字:感想、原作(正典)との比較など。
灰色文字:ト書き
日本語として滑らかにすることよりも、なるべく直訳して英語のまま理解したいと考えています。


(タクシー)
JW:OK, the smoking, how did you know?
それでだ、その喫煙の件だけど、どうやって知ったんだ?

SH:The evidence was right under your nose, John, as ever you see but do not observe.
証拠は君の鼻先にちゃんとあったよ、ジョン。相変わらず君は見てはいるのに観察してないんだ。

JW:Observe what?
観察って何を?

SH:The ashtray.
灰皿さ。

※見ているのに観察していない。これもたしか「ボヘミアの醜聞」にありましたね。ベーカー街221Bの階段の数が何段あるかとか。そんなん知るかっつーの!とワトスンは思ったことでしょう。
「You see, but you do not observe.」

(アイリーン宅)
IA:Kate? We’re going to have a visitor. I’ll need a bit of time to get ready.
ケイト、これから来客があるわ。仕度にちょっと時間がかかるわよ。

KATE: A long time?
長くかかりますか?

IA:Hmm, ages.
そうね、うんとかかるわね。


(221B)

JW:What are you doing?
何をやってるんだ?

SH:I’m going into battle, John, I need the right armour. No.
これから戦いに行くんだ。ふさわしい甲冑が必要だ。ちがう。

armour:鎧兜

(アイリーン宅)
IA:No.
ちがうわ。

KATE: Works for me.
私には十分素敵です。

IA:Everything works on you.
あなたには何だって素敵に見えるのよ。

※ここのwork は 服が服としてその目的を果たせる というようなことなんでしょうね。ところでworks for と works on ってちがうのかしら?

(タクシー)
JW:So, what’s the plan?
それで、どういう計画なんだ?

SH:We know her address.
我々には彼女の住所がわかっている。

JW:We just ring her doorbell?

彼女の家のドアベルを押すってこと?(=玄関から訪問するのか?)

SH:Exactly. Just here, please.
その通りだ。(運転手に)ここで停めてください。

JW:You didn’t even change your clothes.
お前、服だって着替えてないだろ。

SH:Then it’s time to add a splash of colour.
では、そろそろ、いろどりを加えるとしよう。

※splash of colour は色を散らすというような意味合いですよね。

(路地)
JW:Are we here?
ここでいいのか?

SH:Two streets away, but this will do.
2つ向うの通りだが、ここで十分だろう。

JW:For what?
何が(十分だって)?


SH:Punch me in the face.

僕の顔を殴れ。

(アイリーン宅)
KATE:Shade?
色合いは?

Shade:影、陰影、濃淡、色合い

IA:Blood.
血の色。

(路地)
JW:Punch you?
殴れって?

SH:Yes, punch me in the face. Didn’t you hear me?
そうだ。顔を殴れ。聞こえなかったのか?

JW:I always hear “punch me in the face” when you’re speaking, but it’s usually sub-text.
俺はいつも「顔を殴ってくれ」って聞こえてるよ。お前がしゃべってるとき、でもそれはいつもなら「言外に」だけどな。

SH:Oh, for God’s sakes!
ごちゃごちゃと・・うるさいな。(といってジョンを殴る)

JW:Oh! Ow!
(ジョン殴り返す)

SH:Thank you, that was, that was… OK, I think we’re done now, John.
ありがとう。それで、それで...十分だ。ここまでにしよう。ジョン。

JW:You want to remember, Sherlock, I was a soldier. I killed people.
お前は覚えておいたほうがいいぞ、シャーロック、俺は兵士だったんだ。人も殺した。

SH:You were a doctor!
医者だったろ!

JW:I had bad days!
ついてない日もあった。

(アイリーン宅)
KATE:What are you going to wear?
何を着るんですか?

IA:My battledress.
私の戦闘服を。

KATE:Ooh, lucky boy.
まぁ、ついてる坊やだわ。

ピンポーン

KATE: Hello?

はい?

SH:Oh, um, sorry to disturb you. Um, I’ve just been attacked. Um, and I think they, they took my wallet and, um, and my phone. Um, please, could you help me?
あの、すみません。お邪魔して。あの、私、たった今襲われて、あの、それで、私は彼らに、彼らに財布を取られて・・そしてあの・・携帯も盗られて、あの、どうか、助けてもらえませんか?

KATE:I can phone the police if you want?
よろしければ警察に電話しましょうか?

SH:Thank you, thank you. Could you please? Er, would you mind if I just waited here, just until they come? Thank you, thank you so much. Thank you. Oh.
ありがとう、ありがとう。お願いできますか?それで、あの、もしよろしければ、こちらで待たせていただいても、警察が来るまでの間、いいですか?ありがとうございます。ほんとうにありがとうございます。どうも。

JW:I saw it all happen. It’s OK, I’m a doctor. Now, have you got a first aid kit?
私は起こったことを全部見ていました。だいじょうぶです。私は医者です。では、救急箱をお持ちでしょうか?

KATE:In the kitchen. Please.
台所にあります。どぞこちらへ。

JW:Thank you.
どうも。

SH:Oh, thank you.
ああ、ありがとうございます。


さて、救急箱が台所にあるんですね。うちは洗面所にあります。

シンメトリーな構成
・戦闘服をあれこれえらぶ
・二人ともある意味素のままを戦闘服とする
・彩りとして「血」を加える。シャーロックは殴り傷、アイリーンは血の色の口紅。

吹き替えで「add a splash of colour」の部分が「カラー(襟 collar)をつける」となっていました。日本の視聴者にとっては「襟」をつけるのが「聖職者」の変装だとわからない人もいるでしょうし、ましてや正典を知らなければ、なんのことだかかわからなくなるでしょうから、この訳も親切だったのかもしれません。
脚本に「色」「と「襟」をかける意図もあったのかもしれません。

事実、殴られて血の彩をするのとカラーをつけるのはどちらもこの台詞のあとにシャーロックがやってることなので。

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