【横浜山手の西洋館とイタリア山庭園を歩く〜時空を超える小さな旅〜

横浜を楽しむ

横浜山手西洋館巡り|時間旅行へ出発

横浜の山手エリアは、私にとってはもう「庭」みたいな場所です。
でも、あらためて歩いてみると、やっぱりいい。
坂の向こうに広がる洋館たち、昔の空気が残る庭園、そしてときどき現れる美味しい誘惑(笑)。

今回は、地元民の私が実際に歩いたルートをもとに
西洋館を巡るおさんぽコースをご紹介します。

今回歩いたルートはこちら!

👇まずは全体のルートをざっくりご紹介します。
道順を確認しながら、一緒に“時間旅行”へ出かけましょう!

それでは、石川町駅からスタート!
坂道をのぼって、懐かしさと静けさに出会いにいきましょう。

石川町駅からスタート|坂道の誘惑

横浜港が開かれた明治の頃、ここ山手には外国人たちの暮らしがありました。
華やかな表通りもあれば、きっと裏通りには雑多な日常もあったはず。

今では当時の名残を残す数少ない建物たち。
でも、私は建物そのものだけじゃなくて、その背景にあった時間の重なりに惹かれてしまいます。

おさんぽスタート ~坂道の誘惑たち~

横浜山手の散歩は、JR石川町駅からスタート。

石川町駅には2つ出口がありますが、「南口改札」です。
駅を出るとすぐ運河が目に飛び込んできます。
昔はここをたくさんの船が行き交っていたんですよ。

路地を曲がると、すぐに坂道が始まります。
この駅から坂を登っていく道沿いには、
地元の人に愛される小さなお店たちがひっそりと並んでいます。

地図好きの私は、すでに頭の中で今日のルートを思い描きながら、
坂道を登り始めました。

洋菓子店「ブーケデスポワール」|坂道のご褒美

まず目を奪われたのは、坂の途中に佇む可愛らしいケーキ屋さん、
「ブーケデスポワール」。(フランス語で「希望の花束」という意味)

元コルドンブルーのシェフパティシエ(講師)の奥田シェフが作るケーキは、
見た目も味も、まるで芸術作品のよう。

ショーケースの中から、絶品カヌレを食べ歩き用にひとつ、
休日限定のクロワッサンとパンオショコラを明日の朝食用に買いました。

「この道も、きっと昔の人たちが、
こんなふうにお菓子を手にして歩いたことがあるんじゃないかな?」
そんなことを考えながら、足取りも心も少し軽くなっていきます。

坂の途中の可愛い洋菓子店 ブーケデスポワール
ブーケデスポワール
神奈川県 横浜市中区石川町2-78-10 ピーカーサ石川町101
045-306-9971
11:00~19:00
火曜定休(月2回月曜休みあり)
https://www.bouquetdespoir.com/

かき氷店「小桃」|冬でも行列のふわふわ氷

ブーケ・デ・スポワールの上階には、冬でも行列という不思議なかき氷屋さん「小桃」。
純度の高い水から時間をかけてつくる純氷を削ったふわふわのかき氷だけでも美味しいのに、手作りの各種シロップ。このお店でしか食べられない季節限定のトッピングも楽しい。

さすがに寒いかなと思ったけど、食べてみたら、ふわっふわで感動!
サイズもかなり大きいのに、一人で2つ頼むのはデフォルトのようです(笑)

小桃さんのかき氷
かき氷店 小桃
神奈川県 横浜市中区石川町2-78-10 ピーカーサ石川町102
045-263-8823
11:00~16:00(L.O.15:30)
月木曜定休
https://www.instagram.com/komomo_kakigori/

ブラフ18番館|震災をくぐり抜けた家と、私の妄想タイム

坂道をせっせと登って、イタリア山庭園にたどり着いた私。
そこに待っていたのは、白い壁と緑の窓枠、そしてオレンジ色の屋根が可愛い、ブラフ18番館でした。

ブラフ18番館

ブラフ18番館とは?|震災を乗り越えた歴史ある家

パッと見、可愛いおうちなんだけど、
この建物、実は関東大震災を生き延びたツワモノなんだそうです。
(えっ、そんなすごい家だったの!?ってここで一人びっくりする私。)

もともとはオーストラリアの貿易商さんのお宅だったのが、
戦後はカトリック教会の司祭館になり、
平成になって、ここにお引越ししてきたんですって。

震災で焼け残った部材が使われていると聞くと、
「ただ古いだけじゃない、歴史を背負って立ってるんだなぁ」
なんて、ついつい妄想スイッチが入ってしまいます。(あるある)

館内めぐり|ダイニング・サロン・寝室へ

館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、
光がたっぷり差し込むダイニングルーム。

ベイウィンドウから外の緑がチラチラ見えて、
「この席に座って、朝ごはん食べたら最高だろうな…」
なんて、庶民的な妄想をしながらウロウロ。

さらに奥に進むと、ピアノが置かれたサロンへ。
100年前の国産ピアノ(松本ピアノ!)がドーンとあって、
ここでミニコンサートも開かれるらしい。
(私も弾けたらカッコいいけど、せいぜい「猫ふんじゃった」レベルなので、見るだけで大満足です。)

2階に上がると、静かな寝室の展示。

ベッドもチェストも、こぢんまりしていて、
なんだかリアルな生活感が漂っています。

「いやー、こんな落ち着いた寝室に住んでみたいけど、
絶対、私は荷物でごちゃごちゃにしてしまう未来しか見えないな…」
とか、これまた妄想暴走。

小さなライブラリーで歴史と出会う

そして、今回の私の心のヒット賞。
それが、2階の隅っこにある小さなライブラリー!
開港当時の横浜のこと、異国との交流、震災のこと――
気づけば無心でタイトルを読み漁っていました。

「やばい、これ…ここに座ったらたぶん3時間は出られないやつ。」

でもね、それくらい、
この家には生きた時間が詰まってるって、改めて思ったんです。

ブラフ18番館のライブラリー

歴史の本と古い床板に囲まれながら、
100年前の誰かと、ちょっとだけ心が通じた気がした。
そんな、勝手なロマンに浸りつつ、私はブラフ18番館を後にしました。

ラフ18番館
神奈川県横浜市中区山手町16 山手イタリア山庭園内
045-662-6318
9:30~17:00
休館日 第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/bluff18/

外交官の家:時空を越えた住まい交官の家|明治の空気をまとった洋館へ

ブラフ18番館をあとにして、
さらに坂道を少しだけ登ると見えてきたのが、
クラシックな佇まいの外交官の家です。

外交官の家とは?|明治の外交官が暮らした邸宅

この家、実は明治時代の外交官、内田定槌(うちだ さだつち)氏の私邸だったそうで、東京渋谷の南平台にあったものを移築したそうです。

アメリカン・ビクトリアン様式の建築で、
白い板張りの外壁、急な屋根、そして美しいステンドグラスが特徴。

「外交官って、こんな素敵な家に住んでたんだなぁ~」
なんて、羨ましいやら、妄想が止まらないやら。

館内めぐり|ステンドグラスとサンルームにうっとり

ブラフ18番館がファミリーの軽やかな生活を感じさせたのに比べ、こちらはクラシック!
木も黒光りしていて重厚感があります。
玄関にはカラフルなステンドグラスもあって素敵〜〜〜。

特に階段の手すりのカーブとか、ちょっとした細工とか、
もう職人魂をビシビシ感じるわけですよ。

2階に上がると、陽の光がふんだんに差し込むガラス張りのサンルームがあり、
そこからの眺めがまた絶品!(ここで内田夫妻は朝のコーヒーとか飲んでたんでしょうか)

春の外交官の家

小ネタ|「のだめカンタービレ」と外交官の家

ちなみにこの外交官の家、
ドラマ『のだめカンタービレ』で、千秋先輩の実家のモデルなんですよ。
(えっ、あの千秋さまって、こんなオシャレな洋館出身設定だったの!?)
と思うと、なんだか妙に親近感が湧いたりして(笑)
ネタバレになりますが、さっきの素敵なサンルームものだめがどよ〜〜んとしていたシーンで使われています。

のだめカンタービレのファンの方にもおすすめです!(私は漫画もアニメも実写ドラマも映画もコンプリートしていますので、かなり興奮しました^^)

(以前はちゃんと外交官の家の中にこんな掲示がありました)

カフェで一休み|クラシックな時間のなかで

外交官の家のお庭の横には、
庭園の噴水側に面して、小さなカフェ「ブラフガーデンカフェ」があります。
屋内席、テラス席ともにあるので、雨の日も晴れの日も楽しめます。

カレーやシチューなどのご飯ものもある充実ぶりですが、わたしはコーヒーを頂きました。
この雰囲気、ズルすぎます。

眼下に広がるきれいな噴水をぼんやり眺めながら、
「こんな時間も、たまにはいいなぁ」と思ったひとときでした。

外交官の家
神奈川県横浜市中区山手町16 山手イタリア山庭園内
045-662-8819
9:30~17:00
休館日 第4水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/gaikoukan/

イタリア山庭園|高低差が独特の雰囲気を醸す場所

ブラフ18番館と外交官の家があるのは「イタリア山庭園」の中です。
この庭園散策だけでも清々しい気持ちになります。
丘の上にあるので、ちょっとした高低差、階段が庭にアクセントを添えています。

イタリア山庭園とは?|元イタリア領事館跡の公園

ここは、明治13年から19年までイタリア領事館があった場所。
その歴史から、「イタリア山」と呼ばれるようになったそうです。

広さは約13,000㎡。
イタリア式庭園に多い、幾何学式の整形花壇や、
噴水、水の流れが美しく配置されていて、
歩いているだけで、なんだかヨーロッパのお庭に迷い込んだみたいな気分になります。

庭園の見どころ|整形花壇とメタセコイア並木

特に目を引いたのは、
左右対称にびしっとデザインされた整形花壇。
春にはチューリップ、夏にはバラなど、四季折々の花が彩るらしいです。

そして、外交官の家とブラフ18番館を結ぶメタセコイア並木も、
秋になると黄金色に輝いて、それもとってもきれいなんです。

こんなに歴史ある公園なのに、しかも無料で入れるって、
横浜…すごいよ。(頑張って税金納めますっ)

イタリア山庭園からの眺め、マリンタワーやベイブリッジが見える
整形花壇の奥に外交官の家が見える
メタセコイアの並木

そして、あの感動|富士山が見えた!

さらに庭園の端っこまで歩いていくと、
そこにあったのは青いタイルが美しい噴水。

イタリア山庭園には幾何学も良いの噴水もある

ベイブリッジ、みなとみらいのビル群を一望できるだけでもすごいのに――
なんと、天気が良ければ、富士山がくっきり見えるんです!!

私が行った日、ちょうど空が澄んでいて、
ビルの間から浮かび上がる富士山のシルエット…。
もう、思わずその場で「うわぁ…!」って声が出ちゃいました。
東京から見る富士山と違い、横浜体と結構大きく見えるんですよね。

イタリア山庭園から見える富士山

庭園の中にはベンチもたくさんあって、
のんびり読書したり、お弁当広げたりもできます。
気候の良いときにはスケッチしているグループも見かけます。

そして何より、
坂道を登ってきた達成感と、
この景色のご褒美感がたまらない――

そんな、秘密のようなスポットでした。

あ、庭園内にはトイレもあります。山手地区は住宅街になるので、、散策時トイレはちゃんとチェックしてくださいね。

まとめ|地元民がこっそりおすすめする、横浜時間旅行

坂道をのぼり、洋館をめぐり、庭園を抜けて――
何度も、私は100年前の風を想像していました。

「この坂、きっと昔の誰かも、
ケーキ片手に(?)歩いてたんだろうなぁ」
なんて、妄想全開で。

ブラフ18番館のきしむ床を踏みしめたとき、
外交官の家のカフェから噴水を眺めたとき、
イタリア山庭園のテラスで富士山を見つけたとき――

たてものは移築されたものだけど、やっぱり、ここには時間が折り重なっているって、しみじみ思えました。


実は私、このあたり、わりと日常感覚で歩いてます。
地元だから、坂道も、庭園も、ちょっと庭みたいな感覚。
山手地区の中でもイタリア山庭園は、少し離れた場所にあるので、観光客は少なめで地元の人がのんびり散歩してる姿をよくみかけます。

でも、あらためて一日かけて歩いてみたら、
「やっぱり、めっちゃいいじゃんここ!!」って思いました。

だから、この記事を読んでくれたあなたにも、
ぜひ、のんびり歩いてみてほしいんです。

観光地!って身構えず、
ふらっと坂を登って、
昔の時間にふっと触れる――
そんな横浜体験、ぜひ味わってみてください。


次は、昔の地図片手に、
もっとディープな山手探検にもチャレンジしたいな。
そんなことを考えながら、私は坂を軽やかに(←気持ちだけw)下っていきました。

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