横浜・元町ってどんな街?
夕暮れどきの元町ショッピングストリートが、好きです。
アスファルトに落ちるオレンジ色の光、
白い壁にあたる西陽、
そしてほんの少しだけ、街の空気が静かになっていくこの時間。
気づけば私はいつも、
「この道、昔はどんなふうだったんだろう」
なんて考えています。
異国情緒と歴史を感じる街並み
元町は、もともと山下町と山手という2つの外国人居留地の間で発展してきた商業の町。
異国の香りを受け止めながら、日本の商人たちが自分たちのスタイルで育ててきた、ちょっと誇り高い街です。
今ではブランドショップや老舗カフェが並ぶ、横浜屈指のショッピングストリート。
70〜80年代には「ハマトラ」というファッションの発信地となり、全国に名前が轟いたそうです。また年に2回のチャーミングセールは、全国の商店街で一番売上を上げていた時期もあったそうです。
でも、ただの“買い物の街”じゃない。
歴史と記憶と、今を生きる人たちの賑わいが、
静かに混ざりあっている――それが元町なのだと思う。
チャーミングセールとは?
元町チャーミングセールは、横浜・元町ショッピングストリートで年に2回、春と秋に開催される大型セールイベントです。毎年、春は2月下旬〜3月上旬、秋は9月下旬ごろに行われ、地元の人はもちろん観光客にも人気があります。1961年にスタートし、来場者数も売上規模も日本有数のバーゲンセールです。
期間中は、老舗のブティックや高級ブランド、雑貨店、カフェなどが一斉にセールを実施。最大で50%オフになる店舗もあり、ふだんはなかなか手が出ないアイテムもお得に購入できるチャンスです。
元町の雰囲気も、この期間はちょっと特別。普段は静かな通りが、たくさんの紙袋を持った人でにぎわい、まるで街全体が一つの劇場のように華やぎます。スタッフさんたちの呼び込みも元気で、まさに街ぐるみのお祭りといった感じ。
ショッピング目的の人はもちろん、横浜観光のついでにふらっと立ち寄っても十分楽しめるイベントです。
元町ショッピングストリートを歩く
おすすめの老舗&新店紹介
元町のメイン通りを歩くと、
まず感じるのは「静かな誇り」みたいなもの。
老舗のブティックやベーカリーが、
どれも主張しすぎず、でも個性を隠しているわけでもなく、
“うちはうちの道を行く”っていう空気をまとってる。
観光客向けの賑やかさとも違うし、
高級ブランドがずらっと並ぶ表参道とも、ちょっと違う。
なんというか、外から来た文化を、地元のやり方で咀嚼した感があるんですよね。
(↑こういうのに弱いんです、私。)
通りには、創業100年を超える老舗と、
若いセンスの新しいお店が、なんの違和感もなく並んでる。
たとえば
・近沢レース店(明治34年創業)と
・サステナブル系の小さな雑貨店が、
同じ通りに並んでいても不思議じゃない。
それぞれのお店が、
「自分たちはこの通りの一部なんだ」っていう覚悟を持ってるように感じて、
その静かな自信に、私はなんだか毎回しびれるのです。
そんなストリートを、夕方のやわらかい光の中で歩いていると、
「ここに住んでる人たちが、この街を大事に守ってきたんだな」って、
しみじみ思ってしまう。
セール時の雰囲気と買い物体験
チャーミングセールの日の元町は、
紙袋を両手に抱えた人たちが、ゆっくりと波のように流れていく。
ガツガツ買い物、というよりは、
「あ、これもいいね」「あそこ、行ってみようか」
っていう、やわらかいテンポ。
誰かの後ろ姿を見て、
「あ、その店もチェックしてたやつだ…!」とついて行ったり、
呼び込みに吸い寄せられたり(笑)
通り全体が、ちょっとしたパレードみたいで、
歩いてるだけで気持ちが浮き立ってくる。
もちろん、商店街の人たちもいつもより声が大きくて、
笑顔もたくさんあって、
なんというか、**「今日は街全体がひとつの劇場です」**みたいな感じになるんです。
かつてこの通りを、外国人たちが歩き、
新しいものを求めていた時代があったと聞きます。
そして今は、地元の人も観光客も入り混じって、
あの頃とはちがう形で、でも確かに「何かを探しながら歩いている」。
そんな今の元町が、私はやっぱり好きだな、って思うのです。
📦 わたしの戦利品メモ(自分ツッコミつき)
- 濱文様の福袋(→あれはコスパ神)
- 荒井板金でリーデルのワイングラス(←明治5年創業なのに最先端)
- カラカラでクッション2個(ふわふわ)
- 近沢レース店でポーチ(旅用にぴったり)
- カフェラミルとキャラバンでコーヒー豆(嗜好品は別腹)
- カムイで藍染の風呂敷(使う予定はないけど、気分で買った)
※濱文様さんとカムイさんは現在は閉店してしまいました。
財布の紐が緩んでるというより、
もはや落ちてる。(←私のことです)
でもね、
チャーミングセールの日だけは、
街もお店も「今日は楽しんでいいんだよ」って言ってくれてる気がして。
だから、毎回つい、また歩きに来てしまうのです。
買い物しなくても楽しめるチャーミングセール
観光のついでに元町チャーミングセールにいらした方、
買い物しなくても楽しめることあります。
チャーミングセールのときは、老舗高級店にも入りやすいってこと(笑)
宝石ショップや普段は入らない老舗ブティックや老舗家具屋さん、
チャーミングセールのときはお客さんも多いので、ふらっと入りやすい雰囲気。
商品についての質問なども普段より気軽にできます。
元町で見つけた、ちいさな寄り道スポット
元町を歩いていると、ふと気になる小道や看板が目に入ることがあります。
私はそういうのにめっぽう弱くて、ふらふらと予定のない寄り道をついしてしまいます。
偶然出会った映画ロケ地
その日も、ちょっと疲れて「どこかでコーヒーでも…」と入ったカフェで、
なんだかざわついてると思ったら、
映画のロケに遭遇してしまった。
成田凌くんと清原果耶さん。
えっ!?えっ!?って、思わず動揺しながら、
アイスコーヒーの氷をガリガリ噛んでた記憶しかない(笑)
2023年の月9ドラマ「ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜」のロケも元町で行われました。
秋ごろに歩いていると、突如クリスマスの飾りつけが出現。
え?!何?何?
と思っていたら、目の前に出番を静かに待つ江口洋介さんが。
かっこよかった。
よくよく考えると、元町って、
街の景色そのものが“映画的”なのかもしれない。
どこを切り取っても、ちょっと絵になる。
観光地っぽさと、日常っぽさが絶妙に混ざってて、
どこかの商店街みたいで、でも他にない空気が流れてるんですよね。
百段跡と震災の記憶をたどる
元町って、今はすごく整っててオシャレな街だけど、
ふと立ち止まると、その足元に「失われた時間」が積み重なっている気がする。
関東大震災と、元町の復興
散歩の途中、ふと思い出すのが昔見た震災前の横浜の古地図。
関東大震災。
1923年、すべてが崩れ、燃え、消えてしまったあの日。
いま私たちが歩いているこの道も、瓦礫に埋もれていたはずだ。
山手の高台から撮られた当時の写真には、
今の石川町駅あたりが、まるで別世界みたいに広がっていた。
中村川沿いの道筋がうっすらと見えるだけで、
そこに“元町”があったとはとても思えない。
それでも、この街は立ち上がって、
今みたいにお洒落で、穏やかな通りに戻ってきた。
なんでもない通りに、とてつもない「再生の記憶」が潜んでいる。
そう思うと、ただ歩くだけでも気持ちが引き締まる。
失われた百段通りの面影を探して
そしてもう一つ、かつての元町を今も感じる場所がある。
それが、浅間神社へと続いていた「元町百段」。
いまはもう石段は跡形もないけれど、
前田橋のあたりから百段跡を見上げると、
道幅がじわじわと細くなっていくのがわかる。
たぶん、これ、昔の設計者の演出だったんじゃないかと思う。
視覚的に道幅を狭くすると、
その先にある石段が高く、そして神聖に見えるように仕掛けたんじゃないかな。
もうその石段自体は無くなってしまったけれど、
「ここには、なにかあった」っていう感覚が、今もちゃんと残ってる。
現存してないのに、記憶に触れられる。
そういう場所って、なかなか貴重だと思うんです。
元町さんぽのQ&A|アクセス・カフェ・雨の日の楽しみ方
元町へのアクセス方法
元町ショッピングストリートは1丁目から5丁目まで全長600mの商店街です。
商店街の入口出口には「フェニックス」のゲートが設けられています。
1丁目側の入口は、みなとみらい線「元町・中華街駅」元町口直結です。
5丁目側の入口は、JR根岸線「石川町駅」から徒歩3分程度で、どちらからでも便利な立地です。
鉄道のほか、バス便も便利です。
元町5丁目側にある「元町」バス停までは、みなとぶらりチケットでも来ることができますし、元町1丁目側の「元町入口」バス停には、あかいくつバスが停まります。
チャーミングセールの開催時期
毎年、春は2月下旬〜3月上旬、秋は9月下旬ごろに行われています。
2025年春は、2月22日(土)〜3月2日(日)に開催されました。
最新情報は元町商店街の公式サイトでチェックしてみてください。
雨の日のおすすめルート・持ち物
雨の日でも安心なのが、元町ショッピングストリートの魅力です。
アーケード商店街ではないのですが、通りに面した建物は各店舗の1階部分が道路の境界から約1.8メートルセットバック(後退)して建てられており、その上に2階部分が庇(ひさし)のように張り出しているためです。
この構造によって、歩道部分に「軒下空間」が生まれ、歩行者は雨の日でもほとんど濡れずに買い物や散策を楽しむことができます。
でも傘は必要ですので、お忘れなく!
商店街のトイレ情報
個人店が連なる商店街、トイレが気になるかもしれませんね。
でもご安心を!
数カ所トイレが気軽に使えるところがあります。
この中で「元町オアシス」は、商店街公式のパウダールームでおすすめです。
着替えのできるフィッティングルームや授乳室、おむつ替えスペース(男女ともに)もあります。
観光客におすすめのカフェ3選
買い物に疲れたら、ちょっと一息カフェで休憩したいですよね。——そんな時に立ち寄れるカフェが、元町には本当にたくさんあります。
今回は観光で訪れる方に向けて、ジャンル別に「おすすめのカフェ3選」をピックアップしてみました。チェーン系で安心して入れるお店から、横浜発のカフェ、個性派のユニークカフェまで、それぞれの楽しみ方があります。
以下の3つのテーマに分けてご紹介します:
-
☕ 安心感と安定のチェーンカフェ
ルノアール、コメダ珈琲、カフェ・ラミル、タリーズ、スターバックスなど、もちろん元町にもあります!落ち着ける空間と均一なサービスが魅力。 -
🏙 横浜発・地域に根ざした老舗系カフェ
UNI COFFEE ROASTERY、キャラバンコーヒー、チーズケーキが美味しいJo’s Coffeeなど、地元の人にも愛されるロースタリーや喫茶文化を楽しめます。 -
🌿 テーマで遊ぶユニーク系カフェ
ジブリテーマの「カフェラピス」、行列の店「Cafe de Lento」、季節の花があふれる「花Lab.Nocturne」など、“ここだけ”の空間で過ごす特別なひととき。
それぞれのお店の魅力は、別の記事で詳しくご紹介していきますね。気になるテーマがあったら、ぜひそちらもチェックしてみてください。
まとめ|過去と今がすれ違う、元町の魅力
元町を歩くとき、私はいつも「いま」と「かつて」の間を行ったり来たりしている。
ふつうに歩けばただのショッピングストリートかもしれないけど、
ふとした瞬間に、そこにある記憶の層がひらりとめくれる。
夕暮れの光が白い壁にあたって、道が静かになるころ、
なんとなく、過去と今がすれ違っている気がするのだ。
関東大震災の瓦礫の上に再び築かれた街並み。
百段通りに残る、設計者の美意識。
映画のロケに出会った偶然。
チャーミングセールの日に広がる、人のにぎわい。
そのどれもが、この街がずっと「誰かの時間」を受けとめてきた証拠なんだと思う。
私は地元民だけど、
元町を歩くたびに、新しい発見がある。
きっとまた気まぐれに、ふらりとこの坂道を歩いて、
「前に来たときとは、ちょっと違うな」って思うんだろうな。
そんな小さな時間旅行を、これからも続けていけたらいいな、と思っている。
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