今回、親の確定申告を手伝うことになったのですが、通常は年金生活者は確定申告が不要なケースがほとんどです。ここで、どういう場合には確定申告が必要か、あるいは確定申告をした方が有利になるのか、自分のためにもまとめておこうと思います。
まず、さっくりまとめ。
- 公的年金以外に所得(外貨預金の為替差益・保険の解約益など)がある
- その所得が一定額を超える可能性がある
※判定は「年金収入額」と「年金以外の所得額」の組み合わせで決まります。
- 医療費が10万円(または所得の5%)を超えた
- ふるさと納税でワンストップ特例を使っていない
- その他、寄付金控除などを受けたい場合
YOKOこうやってまとめておけば、来年以降もさっと確認できますね。
年金暮らしなら、基本は「確定申告不要」。でも、例外もあります。
「うちは年金だけだし、株もやってないから確定申告なんて関係ない」
私の両親もずっとそうして暮らしてきました。年金の範囲でつつましく暮らし、足りない分は貯金から取り崩す。そんな穏やかな老後を過ごす両親にとって、確定申告は「よその家の難しい話」。
ですが、今年はそうもいきません。
公的年金のみで暮らしている場合、一定の条件を満たせば「確定申告不要制度」の対象になります。ただし、以下の場合は、公的年金のみで暮らしている場合、確定申告が必要になることがあります
- 公的年金等の収入が400万円を超える
- 年金以外の所得がある
年金収入のみでも、為替差益や保険の解約益が一定額を超えれば確定申告が必要です。
一方、医療費控除やふるさと納税場合によっては確定申告をやった方が還付金があります。
うちの実家の場合は、外貨預金口座の整理をしたために申告が必要になりそうです。そして、どうせ確定申告するなら、医療費控除など使える控除はやっておきたいという娘の欲が出ました。 (こんな欲を出してしまったために、手続きは結構地獄になってるんですけどね)
今回は、私と同じように「普段は確定申告とは無縁」な親を持つ子世代に向けて、年金生活者でも申告が必要になるケースを、わが家の実例をもとに、わかりやすく整理しました。
年金生活者の確定申告は「義務」と「還付」で分かれる
年金もあるけど事業もやっているとか、大家さんで家賃収入がある方は、日常的に確定申告されていると思います。この記事で対象にするのは、普段は年金だけで暮らしているという親御さんのケースです。
「親の確定申告を手伝う」といっても、実はその中身は2種類あります。 1つは、やらないと「脱税」になってしまう【義務】。 もう1つは、やらなくてもいいけど、やった方が還付金があって得をするという【権利】。
ここを混同すると、親への説明もややこしくなりますよね。
まずは、わが家がどちらに当てはまるかチェックします。
【パターンA】申告しないと「ダメ」なやつ【義務編】
年金収入のみの場合、原則として確定申告は不要です。ただし「年金以外の所得」が一定額を超えると必要になります。ここで紹介する2つは、事業をやっていない年金生活でも当てはまりがちなケースです。
1. 「外貨預金」や「古い口座」を解約・整理したとき
【親の状況】終活として、昔から持っていた外貨預金などを円に戻した
まさに今回の父のケースです。
外貨預金の為替差益は「雑所得」にあたります。年金生活者の場合、公的年金以外の所得があると、確定申告が必要になることがあります。
・公的年金以外に利益が出ていませんか?
・その利益は年間でどのくらいありますか?
ただし判定は、年金の年間収入額や他にどのような所得があるかによって変わります。
※詳細な判定は国税庁の基準をご確認ください。
2.保険を解約して「50万円」以上の利益が出たとき
「昔から積み立てていた保険を、終活の一環で整理した」 これも、年金生活の親によくあるパターンです。保険の解約返戻金は一時所得にあたります。
一時所得は(受け取った金額 − 支払った保険料 − 特別控除50万円)を計算したうえで、その1/2が課税対象になります。課税対象額が20万円を超えると、確定申告が必要になるケースがあります。
(保険の解約返戻金 − 払込保険料 − 50万円)× 1/2
が、20万円を超えていませんか?
【注意】20万円判定は「合算」です
年金生活者の場合、公的年金以外の所得が20万円を超えると、確定申告が必要になるケースがあります。
この20万円は、外貨預金の為替差益(雑所得)、保険の一時所得(計算後の課税対象額)などを合算した金額で判定されます。それぞれが20万円未満でも、合計して20万円を超えると申告対象になることがあります。
【パターンB】申告しなくてもいいけど「損」するやつ(還付編)
これは申告すれば税金の還付が受けられるというものなので、還付の見込み額と手間のバランスでどうすればいいか考えるとよいと思います。
1. 「医療費」が10万円(もしくは所得の5%)を超えたとき
【親の状況】大きな病気をした、入れ歯を作った、介護保険サービスを使い始めた
普段はつつましく暮らしていても、高齢になると「一回で数十万」という出費が突然やってきます。申告は義務ではありませんが、「税金が戻ってくる(還付)」という一番のモチベーションになる部分です。
病院代だけでなく、通院のタクシー代や同居の家族(我が家の場合は母)の医療費も対象になるので、「かき集める」価値あり。
医療費が家族の分を合わせて10万円、もしくは所得の5%を超えていますか?
2. 「ふるさと納税」や寄付金があるとき
【親の状況】応援したい自治体にふるさと納税をした、あるいはNPOなどに寄付をした
収入が年金のみになっても、ふるさと納税(寄付金控除)の効果はあります。
この場合、ワンストップ特例をやっていれば、確定申告は必要ありません。また、寄付などをされている方もいらっしゃると思いますので、寄付金控除が受けられるケースもあります。
ふるさと納税のワンストップ特例を忘れていたりしませんか?また、どこかに寄付していますか?
まずは、必要書類を揃えて、確定申告をするか判定しよう。
実際に確定申告をするかどうかは、数字を見て決めます。
まずは書類を確認するところからです。
1.「公的年金等の源泉徴収票」
これを見てわかることは、親の年金額と社会保険料額や控除額、親が納めた税金の額です。
そもそも、所得税が非課税の場合は、還付されるものもありません。確定申告をすることになったら、絶対に必要になる書類ですので、まずこの書類を押さえておきましょう。毎年1月ごろ郵送されてくるそうです。
我が家ではこの種類を探すので大騒ぎです。
「あったぞ、今年の分がみつかった!」
電話越しに弾む父の声。 「お父さん、よくやった!右上に『令和6年分 公的年金等の源泉徴収票』って書いてある?」 「字の細かな〜ルーペで見てみるけんね。……いや、『住民税の税額のお知らせ』って書いとるごたる。」
……お父さん、惜しい!!(泣)
そう、親のサポートにおいて最大の難所は「制度の理解」ではなく、「正しい紙を手に取ってもらうこと」にあります。
私が「最新の源泉徴収票を探して」と頼んでから数日。そろそろ見つかったかなと思って電話をかけると、どうやら、去年父の机には去年のビンテージ(令和5年分)や、似て非なる住民税の通知が積み上がってきたようです。
結局、最新のハガキは見つからず、父は「税務署に直接もらいに行く!」と鼻息を荒くして出かけていきました。(※本当は年金事務所なのですが、父の闘志を削ぐのもなんなので、散歩がてら見守ることにしました)
結局、一番必要なのは最新のスマホでも知識でもなく、親の『あったあった(嘘)』を笑って受け流す忍耐力でした。
【注意】再発行は「税務署」ではなく「年金事務所」へ!
「お父さん、その書類がないなら税務署に行ってきて!」
そう自信満々に父を送り出した私ですが、電話を切った直後に血の気が引きました。 ……あ、源泉徴収票(年金)の再発行は、税務署じゃなくて年金事務所だった。
実務のプロを気取っていた私、痛恨のミス。 慌てて父に電話をかけ直し、
「ごめん、税務署じゃなくて年金事務所だった!」
すると父は、
「そんなこた分かっとる。年金は年金事務所たい」
……あれ?私より冷静だ。
私もつい「税務署!」と父に指示してしまいましたが、公的年金の源泉徴収票を再発行するのは「年金事務所」です。 窓口に行くなら、基礎年金番号がわかるもの(年金手帳など)と身分証を忘れずに。 電話(ねんきんダイヤル)で郵送を頼むこともできますが、わが家は「運動不足解消」を兼ねて父が自ら出向くことになりました(笑)。
2.外貨預金の為替差益計算書
通帳を見て、預け入れしたときの為替レートと、引き出したときの為替レート、(ドル預金の場合だったらドル転したときの為替レートと、円転したときの為替レート)が記入されていれば、それを元に計算すれば良いのですが、うちの父の場合は、通帳には記載されていませんでした。そこで、銀行窓口へ行って、その計算書を出してもらうことにしました。
実際にどのような形で計算書を出してもらえるのかは、まだ未確認です。ネットで調べた範囲ですと、銀行でそのような書類を出してもらえるケースは少ないようで、取引明細などを出してもらえる可能性があるとのことでした。それをもとに自分でカウンセレートを計算するというのが一般的なようです。実際にどうだったかは、またご報告します。
3.保険金解約返礼金の計算書
保険会社は解約返戻金の利益計算に必要な書類を発行しているようです。会社によって名前が違うかもしれませんが、主な名称は「支払明細書」「解約手続き完了のお知らせ」「解約返戻金証明書」だそうです。
我が家は保険の返戻金がないので、考える必要ないのですが、貯金代わりに保険をしていたというご家庭も多いと思うので、確認されるといいと思います。
4.医療費の明細は領収書でOK、マイナポータルでも確認可能
医療費がどれだけかかったかは、病収書が保存されていれば、それを集計するだけで大丈夫です。また、保険診療の分だけであれば、マイナポータルでも確認することが可能です。それだけで確認できない以下のようなケースは、個別に領収書などから算出します。家計簿があるといいですね。(うちの実家は家計簿をつけていません…(泣)
保険診療外の治療、例えば、歯医者の自費治療など、
通院のための交通費
※医療保険などから保険金が出た場合は、それをマイナスしなければいけないので、その金額も通帳などで確認しておきましょう。
この場合は、領収書は取ってあったり、取ってなかったりなので、マイナポータルで算出しようと思っています。
まとめ
まずやることは「判定」
年金生活者の場合、以下の3点を整理すれば、「申告が必要かどうか」「還付が見込めるかどうか」がおおよそ見えてきます。迷ったら、税務署や年金事務所に確認するのが安心です。
- 公的年金の年間収入を確認
- 年金以外の所得があるか確認
- 医療費や寄付など控除の対象があるか確認
我が家の場合は、特定申告が必要なのは、今年だけかもしれませんが、今後も大きく医療費がかかることもあるかもしれません。備えあれば憂いなし。
実家の親の確定申告を手伝うということは、書類集めの段階からとにかく大変です。
だから私は、忍耐力も準備しています(笑)

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