ある日のこと。父から「メールの調子が悪い」とSOSが届きました。送信しても相手に届かない、受信も遅い──。当時の私は「通信の問題かな?」と軽く考えていましたが、実はその裏にOneDriveの容量オーバーという意外な落とし穴が隠れていたのです。
父の言う症状は、「メールの本文は見えるけれど、添付の写真が開けない」というもの。私のほうでプロバイダのWebメールにログインして確認すると、確かに画像ファイルは届いており問題なく開けます。つまり、サーバーには届いているのに父のパソコンだけ開けない──。原因がわからず、本当に不思議でした。
YOKOまさかクラウドの容量が関係していたなんて、その時は1ミリも思いませんでした…!
当時の私は、父がOutlookアプリを使ってメールを送受信しており、さらにOneDriveと同期していたことを知りませんでした。だからこそ、あとから「OneDriveの容量オーバーでOutlookメールの添付が開けなくなる」と知ったときには、思わず膝を打ちました。通信エラーではなく、クラウドの容量不足が原因だったのです。
OutlookとOneDriveの容量が“共通化”された仕様変更
このトラブルの背景には、Microsoftによる仕様変更があります。2023年2月1日以降、Outlook.comのメール添付データもOneDriveのクラウドストレージと共通の5GB枠で管理されるようになりました。つまり、OneDriveがいっぱいになると、Outlookの送受信にも直接影響が出る仕組みです。
この仕様変更はMicrosoft公式サイトでも明記されています。容量を超えるとメール送受信が制限され、エラーメッセージが表示されます。
- Microsoft 365 のメール機能とストレージの変更
「2023 年 2 月 1 日から、Microsoft 365 アプリとサービス全体で使用されるクラウド ストレージには、Outlook.com 添付ファイル データと OneDrive データが含まれます。」
▶ Microsoft公式ヘルプを見る - Outlook.com のストレージ制限
「容量を超える場合、メッセージを送受信することはできません。メールを送信したユーザーには、メールボックスがいっぱいであることを示すエラー メッセージが表示されます。」
▶ Outlook.com公式サポートを見る
OneDrive容量オーバーを解消する基本手順
OneDriveが満杯になると、Outlookメールの送受信が停止するほか、添付ファイルの保存や開封もできなくなります。まずは、以下の手順で容量を整理してみましょう。
- OneDrive内の不要ファイルを削除し、ゴミ箱も空にする
- Outlookメールの添付付きメールを整理・削除する
- OneDriveの自動同期を一時停止し、不要フォルダのアップロードを防ぐ
- 必要に応じてMicrosoft 365の有料プラン(100GB〜1TB)にアップグレードする



父のパソコンには、旅行や孫の写真が大量に保存されていました。まさか思い出の写真がメール停止の原因になるなんて、想像もしませんでした。
OneDriveからGoogleドライブへ:実際の移行手順
容量の整理をしてもすぐにいっぱいになりそうだったため、私は思い切って父の環境をGoogleドライブに移行しました。手順は次のとおりです。
- ブラウザでOneDriveにログインし、クラウド上の全データをPCにダウンロード
- OneDriveとの同期を停止し、不要フォルダを削除して容量を軽くする
- 保存したデータをGoogleドライブへアップロード
- Googleドライブの「デスクトップアプリ」をインストールし、同期フォルダを指定
- 以前のOneDrive構成をGoogleドライブ上で再構築
なお、データを一括ダウンロードする際はPCの空き容量に注意が必要です。特に128GB以下のSSDでは一時的に容量不足になることがあります。父のPC(512GB SSD)では問題ありませんでした。
Googleドライブは「ストリーミング」設定がおすすめ
Googleドライブを導入する際は、「ストリーミング設定」を選ぶのがおすすめです。データをクラウドに保存したまま使えるため、容量の節約だけでなく、PCの動作も軽く保てます。
- 動作が軽く、PCに優しい
ミラーリングでは全データをPCに複製するため負荷が大きくなりますが、ストリーミングなら実体を持たないのでCPU負担が軽減されます。 - データの混乱を防げる
常にクラウド上のファイルが最新版として扱われるため、「どちらが新しいか分からない」といった混乱が起きにくくなります。 - 容量オーバーの再発防止
OneDriveのように知らないうちにクラウドが埋まるリスクを回避できます。仮に200GB使ってもローカル容量を圧迫しません。
つまり、ストリーミング設定は「容量節約」よりも「トラブル防止」のための仕組み。特に親世代のPCでは、誤操作や容量不足を防げる安心な運用方法です。



“ストリーミング=賢い整理術”。クラウドを軽く運用できると、日々のパソコン時間もグッと快適になります。
まとめ|メールが届かないときは「OneDrive容量」を確認しよう
Outlook.comとOneDriveの容量は共通化されているため、OneDriveがいっぱいになるとメール送受信も停止します。もし「添付ファイルが開けない」「送信できない」と感じたら、まずクラウド容量をチェックしましょう。
そして、Googleドライブのような別クラウドを併用し、「ストリーミング設定」で軽快に使うのがおすすめです。定期的なクラウド整理は、まさにデジタル版の断捨離。快適なメール環境と気持ちの軽さ、どちらも手に入ります。

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